「走る舞台はサーキット」デモカー紹介 〜イメージオン

2024.6.30

    • カスタムカー
    • スズキ

サーキットを全速で駆け抜けるジムニーを創る!

イメージオンが、サーキットを走るためのデモカーを創り上げた。
市販されているパーツだけで、チューニングすることをルールとし
大幅なシェイプアップも果たしたJB64は、まさに、走るためのクルマに生まれ変わった。
静かに佇むジムニーをひとつひとつ紐解いていくと…
チューナー気質の、もうひとりの戸松氏が現れてくる。

美浜サーキットで走ることだけを想定し、創り上げたデモカー…!?

イメージオンにはかれこれ15年、私はお付き合いさせて頂いている。そして、取材の主役は、つねに同社が展開するジムニー新車コンプリートカーだった。
 
戸松代表が企画・プロデュースしている新車コンプリートは、「選べるコンプリート」とサブタイトルが付いている。あらかじめ用意されたタイヤやホイール、マフラーそして車高の異なるサスペンション等をそれぞれ選び仕上げていくという「セミオーダー式」を採用する。選択肢が多くなったボディーカラー(純正色)も合わせれば、その組み合わせは無限大。まさに、自分仕様の一台に仕上がるという訳だ。
 
さて、今回の取材。新車コンプリートのラインナップに昨年来加わったローダウン・ジムニーを主役に据えるも、切り口をどうしようかと考えていた矢先のことだった。「美浜サーキットを走るためだけのJB64を創ったんです」と戸松代表。こうして、15年目にして初めて、戸松代表が手がけたデモカーを取材することとなった。
 
期待に胸を躍らせながらイメージオンの駐車場に到着すると、2インチローダウンしたジムニーJB64が静かに佇んでいた。「新車コンプリートカーとして取材してきたこれまでのクルマたちと、あまり変わらないようだが…。これが、いつも穏やかなトーンで話す戸松代表の声を昂らせた、彼が語るところのデモカーなのだろうか…?」。
 

チューニングするうえでのルールは、ただ一つ。「市販されているパーツで創り上げること」

しかし、私の目が節穴であったと気づくのに、戸松代表からの説明は不要だった。
 
取材の刻を静かに待ってくれていた「デモカー・JB64」の車内を覗き込んで見ると、前席のシートはバケットシートに換装され、あるはずのセカンドシートはすでに取り払われ、床下の鉄板は剥き出し。足まわりに目を転じれば、ブリヂストンが誇るサーキット向けタイヤのフラッグシップを飾る「ポテンザRE-71RS」に、オンロード向けコイル「スポーツダウンサス(レインボーオート製)」を装着。ブレーキシステムも、パッドとディスクローターをDIXCEL製に、そしてステンレスメッシュ・ブレーキホースで制動力をしっかり確保している。
 
目が慣れていくと、さらに多くの情報が飛び込んでくる。ボンネットはリアルカーボン、リアまわりのウィンドウ3枚はその音でも解るポリカーボネイト製に、興味本位から片手で楽々と上がるカーボンボンネットを開けてみると、トライフォース製「インテークスペシャルキット」が、その存在を高らかに主張していた。さらに、戸松社長からの説明に耳を傾けると…。そのチューニング・メニューの多さに、ただただ圧倒されるばかりだった。
 
「サーキットを走るためのジムニーを創るうえで、僕の中ではひとつのルールを決めていたんです。それは、市販品だけでチューニングするということ。このデモカーに装着されたパーツたちは、いずれもメーカーさんからリリースされているモノなんです。リアまわりの窓は、ポリカーボネイト板を特注にて採寸加工したので、受注も可能ですよ!」。
 
さらに、フロントのプロペラシャフトやデフを外し2駆(FR)とすることで、徹底した軽量化を図ったJB64は、タイトなコーナーやカーブが続くサーキットを疾駆するためのクルマに生まれ変わった。「イメージオンのデモカーとして、サーキットを走ることだけを考え製作してみました。今後は、走るためのカスタマイズも、当店に足を運んでくださるお客さんに提案していきたいですね」。そう語る戸松代表の表情もまた、静かでクールだった…。
(文章:水島 仁/写真:佐久間 清人)
 

3台のジムニーは、いずれも2インチローダウン

この3台は、いずれも2インチローダウンサスペンションを装着する。写真:左)のJB74シエラは、イメージオンがラインナップする新車コンプリートカー。写真:右)は、今回取材に参加してくれた北村さんが所有するシエラで、通勤からサーキット走行までをこなすマルチな相棒だ。そして、写真:中央)のジムニーJB64が、イメージオン戸松代表がJimny SUPER LAP用にチューニングした今回の主人公。同じ2インチローダウンサス(レインボーオート製)を装着しながらも、背丈が一番高い。エンジンをはじめ元からの重量の違いはあるものの、どれだけシェイプアップされたかが、お分かりいただけるだろう。
 

サーキット走行を雄弁に物語る焼け焦げたタイヤ

HASE SPEC Ⅱ(5.5J×16)が組み込まれたタイヤは、ブリヂストンが「最速へのこだわりが生んだリアル・スポーツPOTENZA」と高らかに謳う「ポテンザRE-71RS(205/55R16)」だ。サーキット走行後タイヤ表面は磨かれたものの、焼け焦げた跡が残りザラザラしている。
 

サーキットで果敢な攻めの走りを可能にした足まわり

オンロード向けローダウンコイル「スポーツダウンサス」(2インチダウン)と、車高の上下変更が可能な「全長調整式20段CONQUEST DAMPER」は、いずれもレインボーオート製。サーキットユースだけでなく、街乗りでは圧倒的な快適性を提供する。そして、ステアリングへの振動や不規則な動きを物理的に抑制する「ビルシュタイン製ステアリングダンパー」に換装。
 

JB64のプロペラシャフトを外し2駆(FR)に、前後アームで安定した走行性能を手に入れた

写真:左)のデフ(プロペラシャフトジョイント部)には、イメージオンのステッカーが! サーキットで走ることだけを追求したこのジムニーJB64は、フロントのプロペラシャフトを外しFR化された。フレキシブルな「ねじれ」を可能とし、アーム本体の剛性アップと軽量化を実現した「フレックスアームF/Rセット」(トライフォース製)を装着する。
 

リアにもスタビ(JB23用加工)

タイトなコーナーやカーブが連続するサーキット。ハードな走行に耐え得るためのチューニングは、ここにも!
このジムニーJB64には、JB23用を加工し、リアにもスタビライザーが装着されていた。
 

制動力も徹底的に強化を図る

フロント側のブレーキは、効きを重視するDIXCEL「X」タイプのパッドと、スリット入り「SD」タイプのディスクローターに換装。リアもディクセル製ブレーキシュー「RGX」を装着することで、前後バランスにも優れた安定した制動力を確保した。そして、ブレーキペダルを踏み込んで発生させた圧力を、損なうことなく迅速にキャリパーまで伝達してくれる「スウェッジライン ステンレスメッシュ・ブレーキホース」(ローダウンジムニー用試作品)に換装した。さらに、人間工学に基づいて設計され、たとえ踏み込む角度が変わっても踏力が一定に伝わる「プロト製ペダル」に変更された。
 

圧倒的なパワーとトルクを実現

エンジンルーム内も徹底した改良が行われた。トライフォース製「インテークスペシャルキット」、レインボーオート製「ハイフロータービン」とやはり同社の専用「ECUチューニング」等により、大幅なパワーアップとトルクフルな走りを手に入れた。
 

排気系ももちろん向上

フロントパイプは、大容量かつスムーズな排気の流れを可能とした新設計のトラスト製「GReddyスポーツキャタライザー」に換装することで、排気効率も大幅に向上。吸排気系ともに、十分な改良が施された。このJB64を作り上げた戸松代表の、チューナーとしての矜持が伝わってくる。
 

リアルカーボンボンネットとフロントグリルで、デザインに統一感を!

重量のあるボンネットはドライカーボン製に換装し、カーボン調「JAOSフロントグリル」をチョイス。フェイスまわりのデザインにも拘りが感じられる。そして、フロントバンパーにあるフォグランプ取付け口を穴開けすること等で、大容量のフレッシュエアー取り入れを可能とした。
 

ここでも軽量化! ポリカーボネイト窓

重量のあるリアサイド&リアウィンドウは、ポリカーボネイト製に。ノーマル然とした仕上がりは、実に美しい。
一見すると平面に見えるリアまわりのガラスだが、実はわずかなアールが掛かっている。作業時に気付いたそうで、このアールが取付けを困難なものにしたんだとか。
 

ステアリングは競技と公道で使い分け

写真:左)純正スイッチ機能を活かしながら、機能性と実用性、そしてデザインにもこだわったレインボーオート「ステアリングスィッチケース」の付いた、純正ステアリングで公道を。サーキット走行では、径の小さい「ATCステアリング」(写真:中央)を使用する戸松代表は、「握っているときのフィーリングがとても良いんです」と語る。そして、このふたつのステアリングの付け替えを可能にする「ラフィックス ステアリングボス」(写真:右)。

 

フロントはバケットシートに、リアシートは取り外して軽量化

シートの見直しで室内も一新された。運転席はリクライニングが可能なBRIDE「GIAS(ガイアス)」を、助手席はBRIDE「ユーロスター」に。そして、フロントシートの載せ替えとリアシートの取り外しは、車両重量の軽量化に大きく貢献した。
 

ルブロス製オイル

エンジンオイルをはじめ、ミッションやデフ用オイルは、すべてルブロス製ジムニー専用オイルに交換。
ちなみに、このLubrossオイルはイメージオン店内の一角に陳列されているが、長きにわたり取り扱っているイメージオンでは定番となる商品だ。
 

一見シンプルな外装は、いまだ発展途上中!

2インチローダウンが見ているものにインパクトを与えるが、外観は、さり気ない加飾を良しとするイメージオンらしさが感じられる。しかし、タイヤやリアガラス、ボンネットやフロントバンパー等に、ひとたびその違いを発見してしまうと、その作り込みに驚かされる。しかし、戸松代表によると「これでも発展途上」という。
 

「愛知でもJimny SUPER LAPを開催して下さい!」すべての始まりは、彼の熱意からだった

愛知県に在住する北村さんはJB74シエラを購入すると、ジムニーらしいカスタマイズ=リフトアップを考えたそうだが、「これまではスポーツセダン一辺倒でした」との通り、ローダウン仕様とすることに。走ることが好きな北村さんは、やがて茂原ツインサーキットで開催されている「Jimny SUPER LAP」へ単身参加。気持ちの昂揚が抑えきれず、サーキット会場から自宅に戻るのではなく、さらに一時間ほど要するイメージオンへ。「ここ愛知でも『Jimny SUPER LAP』を開催してください!!」と訴えた。この思いが、戸松代表の重い腰を上げさせることとなった。
 

JB64/74新車コンプリート

「選べるコンプリート」と題した、ユニークでユーザーライクなジムニー新車コンプリートを展開するイメージオン。
リフトアップに加え2インチローダウンもラインナップされ、車高の選択肢は全3種となった。セミオーダータイプのコンプリートが気になる方は、同社のホームページを訪れて欲しい。
 

チューナー魂に火がついた!

「お陰さまで、Jimny SUPER LAP in 美浜サーキットは、大成功で幕を閉じました。主催者であり参加者でもあった僕は、『走るからには、サーキット・ジムニーを創ってみたくなってしまって(笑)』。久しぶりに走るためのデモカーを製作しましたが、今後はカスタムの提案も積極的にいきたいですね!」
 

イメージオン公式サイト

https://www.imageon.jp/