【紹介/試走】レクサスNX クロスオーバーの新種登場
2014.10.17
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プレミアムSUV
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レクサス
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7月に発売されて以来、最新のレクサスとしてTVコマーシャル等でも積極的な広告展開が行われていることもあり、何かと話題のSUV「レクサス NX」。力強いSUVをアピールするタフな外観デザインと、都会でも取り回しに煩わしさのないコンパクトさが、まず何より興味を引く。
ラインナップは、2リッター直4ガソリン・ターボを搭載する「NX200t」と、2.5リッター直4ガソリン+電気モーターのハイブリッド・システムを搭載する「NX300h」の2タイプ。
それぞれベーシックモデルに加えて「version L」「F SPORT」「I package」と4つのグレードを設け、この全てのグレードにFWDとAWDが設定されているので、バリエーションは合計16タイプにもなる。
このNXの開発が始まった2009年といえば、既にBMW X3等の欧州製コンパクトSUVが活況を呈している時期でもあり、後発ならではのアドバンテージを多く盛り込むことが開発陣にとって必須だったことは想像に難くない。
力の入った内外装デザインにしても、バリエーションの豊富さにしても、そのことが窺える出来の良さを感じるニューモデルである。
NX200tに搭載される直4インタークーラーターボは、最高出力175kW(238PS)/4,800〜5,600rpm、最大トルク350Nm(35.7kgm)/1,650〜4,000rpmを発生する、立ち上がりとレスポンスの鋭いパワフルなユニットである。
今どきの2リッタークラスのガソリンターボエンジンは、ひと昔前のそれとは比べものにならない発進加速や低回転域トルクの太さに驚かされること が多いのだが、このNXの2リッターは、それに静粛性やスムースな吹け上がりが加わり、さらに洗練されたエンジン…という印象。
それは、単に大パワーが楽しい、という種類のモノではなく、扱いやすく、街中を走っていても必要なときに充分なパワーが発揮され、ストレスなく操れるパワフルさ…とでも言うべきか。
一方、N300hのハイブリッドの力強さと静粛性は、また別次元と言って良い。AWDはリアにも電気モーターが搭載され、前後でモーターのアシストが働くしくみだが、発進加速時のトルク感と静かにスムースに加速していく感覚はまさにハイブリッドならではのものだ。
なお、NX200tのAWD車が、オーソドックスにプロペラシャフトを介して前後100:0〜50:50までの駆動力配分を行う4×4システム であるのに対し、N300hのAWD車は、後輪を独立した電気モーターのみで駆動し、それぞれに適切な駆動力が与えられる4×4方式が採られている。
舗装されたワインディング路では、両者とも非常に安定した態勢でかなりの高速コーナリングが可能だったが、これが、例えば滑りやすい氷雪路等で は、どのような違いが出るのか、(あるいは出ないのか)非常に興味深いところ。今回の試乗では試せなかったが、いずれ機会を作って検証したいと思う。
街中では、コンパクトサイズのメリットが活かされ、取り回しは非常にラクだ。あまり頼りたくはないが、複数の車載カメラから取り込んだ映像を合成し、自車を俯瞰した状態で表示するパノラミックビューモニターもすこぶる便利。
こうした目新しい技術がこの新種SUVを大いに魅力的にしていることも確かなのだが、最新のレクサスであるNXの一番の注目点は、ある意味、この新鮮さとは相反する”熟成感”であることに気付く。
パワフルではあるが、きちんと制御され調教されたジェントルな加速フィーリング、取り回しの良い車体サイズ、デザイン。インパクトもありつつ質 感の高い、落ち着きのあるインテリア・デザイン。RX譲りの居住性の良さ、快適なシート群。全てが新しいのに、練れている…、そんな印象なのだ。
欧州勢を中心に、今最も注目されているこのクラスに、また新たな刺激も与えつつ、今後の進化が楽しみなモデルである。
NX300hに搭載される2.5リッター直4ガソリン+モーター。エンジンの最高出力は152kW(112PS)、最大トルク206Nm(21.0kgm)を発生する。
NX200tに搭載される2リッター直4インタークーラーターボ。最高出力175kW(238PS)、最大トルク350Nm(35.7kgm)を発生する。
包み込まれるようなデザインのフロントシート&インパネ。手が触れる部分の素材の質感の高さが印象的。
シートは前後とも適度な硬さと包まれ感が快適。リアの足元も広く、居住性は良好。
外観ではリアが切り詰められている印象もあるが、ラゲッジルームは充分な広さを持つ。
フロントサスは、マクファーソン・ストラットで、リアサスは、ダブルウイッシュボーン式。重厚さよりも軽いフットワークを前面に出した硬めのセッティング。