【紹介/試走】TOYOTA RAV4

2019.4.15

    • 四輪駆動車
    • トヨタ


元祖ライトクロカンRAV4復活!

 

海外で存続していたRAV4

2016年7月を最後に、国内マーケットから姿を消していたトヨタRAV4が、このほど“フルモデルチェンジ”という形で復活を果たした。
 
3年前に販売終了しているのに、なぜモデルチェンジなのかといえば、日本国内では販売終了となった2016年以降も、欧米を中心に販売は継続されており、それどころか2013年には日本には未導入の4代目モデルも登場していて、RAV4自体は存続していたから…というわけだ。
 
一昨年、13年ぶりに国内販売が再開されたハイラックスなどと同様、海外では存続していたモデルがふたたび国内に導入されることになった、という意味での「復活」である。
 
そんなわけで、今回発売された新型RAV4は5代目モデルということになる。既に北米では昨年末から発売されており、その時点で日本への導入も公式ホームページで伝えられ、今年2月には日本仕様車の概要も公開されていたので、熱心に情報をチェックしていた4×4ファンにとっては目新しさに欠ける新型車発表かも知れないが、今回は、正式発表に先駆けてオフロード試乗も含めたメディア向け試乗会も催されたので、まずはその第一報をお届けすることになった。


新型RAV4のラインナップは、まず大きく分けて、2リッター直4を積むガソリン車と、2.5リッター直4+モーターのハイブリッド車の2タイプ。両者とも2WDと4WDが用意され、ハイブリッド車には「X」と「G」、ガソリン車には「X」、「G」、「G“Z package”」「Adventure」のグレードが設定される。
 
ハイブリッド車の4WDには、前後にそれぞれモーターを配置してリアをモーターのみで駆動する新型「E-Four」システムを採用。対するガソリン車の4WDには、「ダイナミックトルクコントロール4WD」と「ダイナミックトルクベクタリングAWD」と呼ばれる2種類の4WDシステムを採用している。
 
「ダイナミックトルクコントロール4WD」は、センターデフに多板クラッチを用いて前後トルク配分を制御する既存のシステムだが、今回初採用されたもう一方の「ダイナミックトルクベクタリングAWD」は、センターデフやリアデフを持たず、後輪の左右それぞれに多板クラッチを設けることによって、左右の駆動配分を最大で0:100〜100:0に可変させ、最適化する…という新開発の4WDシステムだ。そして、これらの機構はAIM(AWD Integrated Management)と呼ばれる4WD統合制御システムによってコントロールされている。

 

シャープなレスポンスが楽しいオンロード走行

試乗は、一応発表前という事情もあり、ごく限られたエリアで、しかも短時間で行われたが、それでもFF車を除く全てのタイプに試乗。
 
2リッター直4を搭載するガソリン車は、立ち上がりから鋭い加速を見せ、発進用ギアが組み込まれた新開発のCVTとの相性の良さを体感できた。マニュアルシフト操作のレスポンス(変速時の応答性)も良く、従来のCVTのイメージを覆すレベルのフィーリングの良さである。
 
新採用のダイナミックトルクベクタリングAWDの恩恵を意識して体感できるような走行は叶わなかったが、終始安定したコーナリング、加減速時の挙動は快適そのもので、安心感の高いドライビングが可能。特にコーナリング時は、内輪に制動力を付与して曲がりやすくするACA(Active Cornering Assist)制御と呼ばれる技術がひと役買っている。
 
また、ダイナミックトルクベクタリングAWDは、発進/加速時や氷雪/悪路走行以外の通常走行時にはドグクラッチのリリースによってリアの駆動系を切り離し、動力ロスを低減する(ディスコネクト機構)とのことで、燃費面でも大いに期待できそうだ。

 

意外!?なオフロード走破性能

オフロード試乗では、旋回性能を試すためのフラットダートのトラックとモーグル地形、短いヒルクライム/ダウン及びキャンバー地形の造成コースが用意されていた。
 
このタイプの四駆ならこれで充分であろうという程度に、急勾配や傾斜セクションは無難にクリアするだけのオフ性能を確認できたが、ダートとモーグルに関しては、新開発システムの効果が顕著に確認できたので非常に興味深かった。
 
まずは、ダート。整備されたフラットダートのコーナーだが、浮き砂利でμは非常に低い。通常、このような路面をトラクションコントロールやスタビリティコントロールを効かせた状態で走ると、アンダーステアを避けるための制御があからさまに介入、アクセルを踏んでも一定以上から回転も上がらず、スピードも抑えられて挙動を安定させる…というのが一般的だ。
 
RAV4のダイナミックトルクベクタリングAWD搭載車は、コーナー進入時からアクセルを踏み増していってもほとんどエンジン回転を抑える制御はかからず、いわゆる「アクセルで曲がる」感覚を邪魔してこない。カウンターステアの操作も自然に行える。
 
こういった電子制御では、「運転が上達したと勘違いするような」という表現をよく耳にするが、まさにコレで、アクセル操作やステアリングにある程度自由度が残されている分、「腕が上がった」感は強い。
 
また、E-Fourシステムを搭載するハイブリッド車では、駆動配分が最大で前:20後:80というFR(後輪駆動車)に近い駆動配分を行うようセッティングされているとのことで、ガソリン車以上に“FR感”が強く、2.5リッターエンジン+モーターのトルクの太さも相まって、ダートランで腕に覚えのあるドライバーには、かなり楽しめる設定となっていると言って良いだろう。
 

一方、モーグルは、RAV4のホイールベースに合わせて、必ず対角線スタックするように作られた人工セクション。マルチテレインセレクトと呼ばれる3種類の走行モードから「ROCK&DIRT」を選択すれば、前述のAIMが駆動力やブレーキを最適に統合制御するため、通常のダイナミックトルクコントロール4WD搭載車でも、アクセルを踏み続けていれば前進は可能だ。
 
しかし、ダイナミックトルクベクタリングAWD搭載車は、タイヤが空転した瞬間から動き出すまでの時間が圧倒的に短く、ほとんどロスを感じずに前進できることが確認できた。
 

ちなみに、ハイブリッド車にはプロペラシャフトが無く、4WD車は前後がそれぞれ異なる原動機(前:エンジン+モーター/後:モーター)で駆動するという、ガソリン車とは全く異なる駆動系を採用している。このため、マルチテレインセレクトではなくTRAILモードと呼ばれるシステムをAIMが制御している。
 
おそらく、RAV4ユーザーが実際に遭遇するケースは少ないだろうと思われるようなオフロードでその実力と対応範囲の広さを実証したダイナミックトルクベクタリングAWDシステムだが、デビューから数えて25年目の復活を果たした新型RAV4の存在意義を感じさせるには充分な武器となる新機構と言えそうだ。
(文:内藤知己/写真:佐久間清人)

 

ガソリン車には1,986cc 直列4気筒直噴エンジンのM20A-FKS型を搭載。最高出力126kW(171PS)、最大トルク207Nm(21.1kgm)を発生する。

 

 


エクステリアとの共通デザインキーが幾つも見つかるインパネ。TFTカラーマルチインフォメーションディスプレイとオプティトロンメーターを合体させたメーターパネルは視認性に優れる。

 

 

 

左:ダイレクトシフトCVTの操作レバー。マニュアルシフト操作はこのレバーで行う。
右:マルチテレインセレクトの操作スイッチ。グレードによってダイアル式も用意される。

 

Adventureの標準シートは専用合成皮革+ステッチを採用するスポーティタイプ。運転席は8ウェイパワーシート(前後スライド、リクライニング、座面上下、チルトアジャスター)で、助手席は4ウェイマニュアルシート(前後スライド、リクライニング)。

 

リアシートは60:40分割可倒式。リアシート使用時でもラゲッジの奥行きは余裕の1,015mm。

 

ラゲッジルームの床は2段デッキボードと呼ばれる構造で、床板を下段にセットすると走行中の荷物の安定にひと役買ってくれる。

 

 

 

 

「Adventure」と「Z package」の標準装着タイヤは235/55R19サイズ。
「G」には225/60R18、
「X」には225/65R17が標準装備される。

 

 

 

 

 

 

 

 

【純正カスタム車】


AdventureベースのTRD仕様車。

 

ハイブリッドXベースのモデリスタ仕様車。

 

Adventureベースの純正オプション装着車。

 

◆お問い合わせ:https://toyota.jp/rav4/index_a.html