【4x4MAGAZINE 44周年企画】 「ブレーキダイナモメーター」に垣間見る、ディクセルのモノ創り
2021.11.2
-
-
ブレーキ
-
スズキ
-
緻密なテスト実験から生まれたディクセルのブレーキ
ディクセル本社の一画にある実験室では、ブレーキの基礎体力を計測するための「ブレーキダイナモメーター」が設置されている。
ストリートやサーキットといったモードに設定し、ブレーキパッドやディスクローターの特性を決定するための候補材を選ぶときなどにも使用されるという。その頻度は、月に4〜6回。
テスト結果は、製品の特性やポテンシャル、そして価格にフィードバックされるのだ。
ブレーキダイナモメーターの自社テスト・実験による製品化と
どこまでもユーザーライクな、ブレーキメーカーとしての姿勢
本社の実験室に設置された「ブレーキダイナモメーター」。この度の取材にあたり、同社のブレーキパッドとディスクローターを実際に取り付け、テスト実験を行って頂くこととなった。ディスクローターが真っ赤(写真:上段2枚)になっていることが、お判りいただけるだろう。
この装置は、ブレーキパッドやディスクローターの特性や耐久性、耐熱性…といった、いわゆる “ブレーキの基礎体力” を測定するためのもの。そして使用用途によりストリートや高速、サーキットモード等、ステージを任意に設定しテストが行われる。ちなみに、今回はサーキットモードに設定。岡山県国際サーキットで、あらかじめ計測したレーシングドライバーの実走データ(スタートからコーナー、バックストレートに至る加減速を忠実に再現)が、そのまま使用されているのだという。
では、なぜこのような大がかりな測定機器を導入し、テストを行っているのだろうか?
この質問に対し、ディクセル広報部金谷次長(本文上の写真)は語る。
「導入前は、協力会社でブレーキダイナモメーターを使ったテストを行っていました。しかし、コスト面のみならず、テストから結果報告までの時間もまた、多くを費やさなければなりませんでした。
ここで得られたテスト結果は、ブレーキパッドやディスクローターの候補材選びをはじめ、リリース予定の製品が意図するステージに相応しいか否かを測定/確認するために行なうのですが、このテストと並行して、例えばストリート仕様のブレーキであるならば、ひとつの候補材に対し、1,000km以上の実車走行テストを候補材分だけ繰り返し行ってきたのです。
例えば、候補材が5種挙がれば、5材質×1,000km=5,000kmの実車走行テストを行った上で…という具合に。
しかし、本社移転を機にブレーキダイナモメーターを導入したことで、候補材をあらかじめ2〜3の材質に絞り込んでから、実車走行テストを実施、素材を決定することが可能となりました。
協力会社へ、テストピースとなるブレーキを送り、そのテスト結果を待つことなく、自社でその都度計測できることは、開発期間の短縮化のみならず、テストに費やしてきたコスト面でも大幅に削減することが可能となりました。
そして何より、これらを商品に反映させコストパフォーマンスをさらに高められたことが、メーカーに身を置くものとして、この上ない喜びとなっています」。
ところで、四輪駆動車へオススメするブレーキをお尋ねすると、金谷さんにはつねに、ブレーキパッドとディスクローターともに2種類程度を候補に挙げていただく。判断もつきやすく、説得力を感じる一方で、四駆向けの(ステージによる)カテゴリーが、他社に比べ少ないように思ったりもするのだが…。
「当社がラインナップする製品のタイプ名(MタイプやXタイプ等)は他社に比べ、あえて少なくしています。それは商品を選んで頂く上で、ユーザーに混乱を生じさせたくなかったからです。
各タイプには用途と対象ステージ(ストリート、ワインディング、サーキット等)を記載して、ご自身が使用するフィールドからお選びいただける工夫を施しています。商品単体で見比べるよりも、下図を参考にしていただくと分かりやすいですね」。
このことは、同社がラインナップするブレーキパッドとディスクローターは製品の稼働領域=ポテンシャルを広く取っている、と言い換えることもできる。
「四駆のオーナーさんには、愛車にコダワリを持つ方も多いと思いますが、必要以上の性能を有した製品を選ぶのではなく、あくまで愛車のフィールドに相応しいブレーキを選んでください。
そして、もし予算が余ったなら、ご家族でランチやキャンプでの食材の足しにでも充てて頂けたら、本望ですね(笑)」と、金谷次長は語る。
どこまでもユーザーライクな視点から、モノ創りが行われているディクセル。「四駆のブレーキはディクセル」と、巷で囁かれるようになって久しいが、そんな声が四方から聞こえてくるのも十分に頷ける!
(文章:水島 仁/写真:佐久間 清人)
簡単そして便利!
「車名ダイレクト検索」
お目当てのタイプが見つかったなら、ディクセルの公式サイトにある「車名ダイレクト検索」へ。
愛車のブレーキパッドやディスクローターを見つけることが出来るはずだ。
その在庫量と、受注した商品を全自動で搬出入する本社倉庫は圧巻!
ディクセルのブレーキパッドとディスクローターは、45社の自動車メーカーと1,300車種以上をラインナップする。そのすべてを収めているのが、巨大物流センターを彷彿させる本社「自動倉庫」。コンピューターに品番を打ち込むと、該当する商品が入った箱を、搬入出する装置が取りにいくのだが、すべては自動となっている。
圧倒的な在庫量がつくる、まるで映画のワンシーンを思わせるその光景と、機械が稼働する様は、見る者の眼を釘付けにする。
ブレーキパッド M type
フロント/リア:¥13,200~(税込)
十分な制動力を誇る一方で、ブレーキダストの大幅低減を実現。ディスクローターのロングライフ化、高いコントロール性と踏力に応じて効きが上がるビルドアップ型のブレーキパッドは、実に扱いやすいことが特徴だ。
街中や高速、ワインディング等、オンロードをメインに使用する四駆オーナーへおススメしたい。
ブレーキパッド X type
フロント:¥16,500~(税込)
リア:¥15,400~(税込)
大型SUV & 4×4をはじめ大口径ホイール装着車など、重量級の4×4向けに開発されたブレーキパッド。
踏力に応じて効きが上がるビルドアップタイプとし、ベダルタッチにも重量感がある。高い制動力を誇りながらも、ディスクローターへの攻撃性が低いという相反する特性を両立した。
ディスクローター PD type
¥8,800~(税込)
ここ近年、純正ローターにも防錆処理は行われるようになったが、その以前から全品防錆コーティングを行う同社のロングセラー商品。鳴きや振動の抑制をはじめ、強度・耐熱・耐クラック性を向上させ、軽自動車からSUVまで幅広くラインアップする。ブレーキ負担の大きい車両にはハイカーボン材を採用、耐久性を向上させた。
ディスクローター SD type
¥12,100~(税込)
6本のスリットが刻まれたSDタイプディスクローターは、PDタイプに比べ摩擦係数を最大20%アップさせ、ゆとりのあるドライビングを可能とした。
回転方向はより高いシェービング効果が得られるようリバース回転(逆回転)を採用し、スリット位置をアウターとインナーでオフセットさせ、ジャダーの抑制にも成功している。
求めていたブレーキが
きっと見つかるはず!
制動力を高めたいとお思いの方、車検を機にブレーキパッドやディスクローターを見直したい方は、ぜひディクセルのホームページを訪れて欲しい。
その圧倒的なラインナップには、きっと驚かされるはずだ。ブレーキに関する啓蒙活動にも注力する。