アジアクロスカントリーラリー2025 レポート

2025.9.1

    • ラリー
    • スズキ

三菱ラリーアート、悲願の王座奪還!
ジオランダーが勝利を強力にサポート

毎年、東南アジアを舞台に開催されている、世界でも有数の過酷なラリー「アジアクロスカントリーラリー(AXCR)」。
30年目のアニバーサリーを迎えた真夏の闘いはチーム三菱ラリーアートが3年ぶりの総合優勝を果たした! そしてその走りを強力にバックアップしたのがタイヤ“ジオランダーM/T G003”だ。
国境紛争やトリッキーなコースなど、多くのトラブルにも翻弄された今回。参加者たちの生の声をお届けしていこう。

 

第30回記念大会 アジアクロスカントリーラリー2025

⚫︎開催期間:2025年8月8日~16日
⚫︎総走行距離:3,247.72㎞(LEG-1~LEG-8)
※国際情勢によりLEG-4とLEG-6はキャンセル

 

トライトン3台で挑んだ三菱ラリーアート
熾烈な闘いを制し、3年ぶりの総合優勝に

4×4&SUVファン…いや、今や世界中のラリー&レースファンたちの真夏の風物詩となった「アジアクロスカントリーラリー(AXCR)」。毎年8月、日本で言うお盆の時期に行われるFIA(国際自動車連盟)公認の国際ラリーで、タイやカンボジアといった東南アジアを駆け巡る、世界有数の過酷な自動車競技だ。
 
そしてもちろん、今年、2025年も数々のドラマを展開して、ラリーは終了した。AXCRは1996年に第1回が開催され、今年は30周年の記念大会になったが、1900年代初頭から続くタイとカンボジアの国境紛争が再び悪化し開催が危ぶまれたが、無事にラリーを終えたことで主催者も、出場者も、そして我々メディアも、ほっと胸を撫でおろしたところだ。
 
そして誰より、安堵の念に包まれたのがこの方だろう。そう、「チーム三菱ラリーアート(以下、三菱)」を率いた増岡浩監督だ。三菱は’22年のAXCRに先代トライトンで初参戦し、いきなり総合優勝を獲得。続く’23年、’24年は現行の新型トライトンで挑んだものの、不運が重なったこともあり、あと一歩のところで優勝を逃していた。
 
しかし今年は3度目の正直の現行トライトン、3台で出場し、112チャヤポン選手が総合優勝!
チャヤポン選手自身、2度目の優勝を手にした。
 
突然の大穴やマッドセクションが現れるなど、大荒れ状態だった今年のAXCR。「トヨタ・ガズーレーシング・タイ」や「トヨタ・ガズーレーシング・インドネシア」、そして「ISUZU SUPHAN YOKOHAMA LIQUI MOLY RACING TEAM(以下イスズ)」など、ワークスチームのライバルたちが日々順位を上げ下げする中、チャヤポン選手は常にデイリーで2~3位をキープする安定した走りを見せた結果だ。
 
「(優勝は)3年ぶりでしょう? 一昨年、昨年と2回とも惜しいところで優勝を逃していたので、この優勝はひとしおだね!」
 
自身、選手としてあのダカールラリーで総合優勝2回・クラス優勝2回の実績を持つ増岡総監督だが、AXCRにはより以上の難しさを感じていたよう(あくまで監督としてだが)。それだけに今回の勝利は尊いものになったはずだ。
 
「これでAXCRは4回出場して優勝2回。勝率5割に戻したので、これからもどんどん勝ち続けていきたいですね!」

 

チーム三菱ラリーアートを支えた
ジオランダーの頼もしさ

さらに三菱は105田口勝彦選手が総合5位に入賞! 日本人トップの成績でラリーを終えた。
 
「3日目にサスペンションのトラブルで1時間20分のロス。その中での5位なので、今回が一番、内容的にはよかったのかなと思っています。チームとしてレベルアップしてきているのは確実だし、次に走ればもっともっとできることもわかった。来年あれば、また頑張りたいと思います!」
 
また田口選手は、今回装着した『ジオランダーM/T G003』の優れた性能にも触れてくれた。
 

「ジオランダーM/T G003、すごくウェット路面で効果を発揮してくれました! とくに少しマッドになりかけのところ。前のクルマに追従していくような場面で、トラクションが明らかに勝っているし、ハンドルを切った時のレスポンスもよくて。滑りやすい路面で、とにかくアドバンテージが出ていましたね。とても頼もしかったです!」
 
ちなみに今回のAXCRでは4輪の出場車・47台中、三菱やトヨタ・インドネシアなどのワークスチームはじめ、またプライベートチームも含め、計24台がジオランダーを装着していた。もちろんラリー専用スペックというわけではなく、すべて市販タイヤそのままとのことだ。装着率51%は “信頼と実績の証し”。そういえばヨコハマタイヤの『ジオランダー』も、AXCRと同じく、今年ブランド誕生30周年を迎えている。今回の優勝は三菱同様、ジオランダーにとってもエキサイティングなものになったのだ!

 

New Face Powerが炸裂!
初参加選手たちの活躍にしびれた!!

トリッキーな “罠” が繰り返し現れるコース、急激な天候の変化、そして国際情勢の不安……、30年の歴史の中でも、特筆すべき苛酷な環境の中で行われた今回のAXCR。#104塙郁夫選手(フォーチュナー)、#107青木拓磨選手(フォーチュナー)など、AXCRでは常連のベテランドライバーたちも苦戦を強いられた中、しかし明るい兆しも見える大会にもなった。それは初参戦となった日本人選手たちの活躍ぶりだ。
 
たとえば「PROPAK GEOLANDAR ASIAN RALLY TEAM」から出場の#137伊藤はづき/槻島もも選手(マシンはジムニーシエラJB74)。2人とも全日本ラリーなどで活躍する選手で、もちろん長丁場のクロスカントリーラリーは初めてだし、ジムニーのような車高の高いクルマでの競技参加も初めて。しかし大きなトラブルもなく、堅実・確実な走りで完走、総合33位に入賞した。
 
「フラットだったのにいきなりマッディ、いきなり大きな穴…とか、本当にいろいろあったんですが、無事、走り切りました!」と伊藤選手が喜びを表せば、
槻島選手も「クルマが揺れて脳が割れた! なんてことが何度もありました。もう、AXCRの洗礼を受けすぎて、最終LEGは短く感じたほどです。完走できたのもチームの皆さん、ジオランダータイヤ、そしてメカニックを担当してくれた中央自動車大学校の生徒の皆さんのおかげです。ありがとうございました!」とコメント。そう、今回チームのメカニックを担当してくれたのは、自動車整備の専門校「中央自動車大学校」の生徒さんたちだったのだ。
 
そして「CUSCO RACING」から出場の#130番場彬選手(トライトン)も全日本ラリーで活躍中、クロスカントリーラリーは初めての挑戦ながら37位に食い込んだ。
 
「僕たちがやっているラリーに近い気持ちいい道だなと思っていると、マッディで難しい路面があったりして。でも、そんな中でもクルマは、タイヤを含め、とても走りやすくて。それで完走して、この成績を残せたのだと思います。来年は “忘れ物” を取りに、また戻ってきたいと思います。応援ありがとうございました!」
 
さらに「SpringRoad GEOLANDAR Rally Team JAPAN」から出場の#141冨山巧大/松原圭蔵選手(ジムニーJB23)は、オフローディング競技 “トライアングル” でならした熟練。ハイスピードラリーは初めての経験だが、見事完走、総合36位に食い込んだ!
 
ちなみに彼ら、初出場組の足下を支えたのも『ジオランダーM/T G003』だ。過酷な環境、刻々と変化する路面状況の中でも、常に安定したトラクション性能、コントロール性能を発揮してくれたことは、すべての選手が評価してくれた。このタイヤのポテンシャルの高さが証明されたカタチだ。
 
今年、30周年を迎えたAXCRとジオランダー。ますます熾烈になるカーメーカー同士の争いと、新進の日本人選手たちの活躍。新しい時代に向け、来年に向け、また楽しみが広がっていくのだ!
(文章:高坂義信)

 

3年ぶりの総合優勝を果たした「チーム三菱ラリーアート」の増岡総監督は、昨年・一昨年の悔しさをバネに今年のチームを統括。
他ワークスチームとの熾烈な争いの中、得た勝利は格別だ。

 

 

三菱最大のライバルと目された地元・タイのISUZUチームはD-MAX(ピックアップトラック)で参戦。
ジオランダーを装着して総合4位に食い込んだ。

 

 

 

AXCRの常連、#104塙郁夫選手はトヨタ・インドネシアのワークスから参戦。ジオランダーファンの期待を背負ったが、ラリー前半でアクシデントに……。最終的には総合35位に。
 

クロスカントリーラリーには初挑戦となった#137伊藤/槻島組。
全日本ラリーで活躍する彼女たちだが、凹凸の激しい路面にはかなり手を焼いたよう。
それでも総合33位完走、来年もぜひ出場して欲しい!

 

手練れの本格オフローダー、#141スプリングロードの冨山/松原組。
ハイスピードの本格ラリー初挑戦でみごと完走、総合36位の好成績!

 

 

 

 
 

一昨年の優勝者、#107青木拓磨選手は、今年は自らのプライベートチーム「GEOLANDAR takuma-gp FORTUNER」から出場。展開に恵まれず総合13位に終わったが、レーサーとしての粘り強さと、タイヤ=ジオランダーの実力を存分に引き出し、目を見張る走りを披露してくれた。


全日本ラリーで上位入賞の常連となっている「CUSCO RACING」の#130 番場彬選手。ヨコハマタイヤを17年間使い続けてきたというだけに、相棒・トライトンに選んだのももちろんジオランダー。変化の激しい路面に戸惑いながらも、初のクロスカントリーラリーを完走、総合37位で終えた。”忘れ物をしてきた” という来年に期待だ!
 

プライベーターとしてAXCRの常連になっている「Garage Monchi & Yanagawa iron works JAPIND」#115竹野悟史選手だが、今回の出場で一区切りつけるのだという。
非力なジムニーJB33で出場を続けていただけに、残念…。

 

「次代を担う若者へラリーに対する僕のすべてを受け継いで欲しい、そんな思いで挑戦してきた」という「Kyushudanji Team Japan」#119森川金也選手もまた、この3年目の挑戦で一区切りという。
ランクル80の速さを最後まで存分に見せつけてくれた。

 

#136ロスリン選手と#137伊藤/槻島選手が属す「PROPAK GEOLANDAR ASIAN RALLY TEAM」のメカニックを務めたのは、「中央自動車大学校・一級自動車整備科」から選抜されたメンバー。初の女性メンバー、工藤るなさんは「何かとその日その日でやることが多かったし、次のことも考えなければいけなかったので、ラリー期間はあっという間でした」とのこと。また、江端明義さんは「整備上のトラブルもなく、2台とも完走できたのでよかったです。ただ過酷な環境の中で、自分の技術のなさも痛感しました。今後の成長につなげていきたいと思います!」。
がんばれ、若者たち!

 

GEOLANDAR公式サイト

https://www.y-yokohama.com/brand/tire/geolandar/