長距離テストレポート:WINTER MAXX 02

2016.10.31

    • タイヤ
    • その他

maxx00_0223今秋、DUNLOPからデビューした乗用車用最新スタッドレスタイヤ「WINTER MAXX 02」。
ダンロップ史上最高傑作を謳うスタッドレスタイヤに与えられたテクノロジーのひとつが「長持ち性能」だ。
社有車であるクラウンに装着し、約2,500kmのロングドライブテストを敢行した。

(文章:浅野修司/水島 仁)

 

<テスト車両データ>
◆装着車両:S17型クラウン
◆タイヤサイズ:205/65R15(重量車対応スペック)
◆測定期間:18日間(2016年10月4日〜10月21日)
◆走行距離:2,498km(84,230km〜86,728km)

maxx01毎年、雪の便りが届く頃になると、スタッドレスタイヤのインプレッションを行うべく、雪を求めて北国に向かう。しかし、例年であれば白銀の世界となるはずの北東北でも、昨年末から年明けにかけては、市街地でも黒いアスファルトが現れていた。

今年3月初旬に訪れた青森県弘前市でも、通常であれば雪に覆われているはずの大地に雪はなく、まさにドライ路面でクルマを走らせていたことを思い出す。都内暮らしの私にとっては、安心してドライブを楽しむことが出来たのだが、スタッドレスタイヤを100%装着する北国のドライバーからすれば「スタッドレスタイヤをいつ装着することがベストなのか」と言う声が、四駆ショップでも多く聞こえる年だったという。

「ドライ路面での走行距離を抑え、履き替えたスタッドレスタイヤの減りを押さえたい」とは、雪国に在住するユーザーの多くが抱く正直な思いだろう。

そんなユーザーたちの声に応えるかのように、「効きとライフの長持ち性能」を謳う乗用車用スタッドレスタイヤ「WINTER MAXX 02」がデビューした。

早速社有車クラウンに装着し、日常的な市街地での走行から長距離ドライブまで、ドライ路面での長距離テストを行った。そのレポートをお届けしよう。

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都内から新潟市内に向かう道中の風景。左上から時計回りに、時系列にて掲載。① 谷川岳PA/② 長岡市内の田園風景/③ 寺泊港/④ 日本海に掛かる獅子ヶ鼻大橋

 

くたびれかけた脚に上質感が甦る

もう一台の社有車120プラドに活躍の場を奪われ、少々出動回数が少なくなっていた17系クラウン。今回のロングドライブテストでは西に東に奔走し、大幅に走行距離を稼ぐこととなった。そして、最終テストドライブを行うべく、一路新潟へ向かうこととした。

関越道に入り、平坦な道を進む。初度登録から15年が経過し、少々くたびれかけたクラウンの脚回りは、WINTER MAXX 02のおかげで、ソフトで快適な乗り心地を取り戻したかのよう。そして、クルマとの相性も手伝ってか、スタッドレスタイヤとしての静粛性も良い。

渋川・伊香保インターを過ぎた辺りから、関越トンネルまで上り坂とカーブが続くのだが、タイヤはスルスルと転がるかの様に、クラウンに軽快な走りを提供する。キビキビと走るユーザーには当てはまらないが、ゆったりとした走りを愉しむユーザーにとっては、スタッドレスにありがちな腰砕け感は感じられない。WINTER MAXX 01に比べ、タイヤの接地面積が102%に増え、より均一化された接地圧が、パワーロスの少ない走りと、高い操縦安定性を可能にしたと言えよう。

この軽快感は、さらに燃費の良さを予想させるものだった。実際に新潟市内から都内に戻るまでの区間で燃費テストを行ったのだが、満タン法で12.42km/ℓを記録。夏タイヤに比べ、コンパウンドの軟らかいスタッドレスタイヤというハンデを負いながらも、この燃費は、十分に満足のいく数字。ダンロップのカタログにも「WINTER MAXXは転がり抵抗を抑え、低燃費性能を追求した」と謳っている通り、納得のいく結果と言えた。

新潟市内から関越道に入り、一気に練馬インターへ。車両の流れに逆らうことなく法定速度での走行を行った。さらに外環道を経由し、草加IC下車。日光街道を通り自宅のある足立区へ。 <燃費計測> ◆ 走行距離:338km(ODOメーターによる計測) ※給油前:86,338km(写真左)/給油後:86,676km(写真右) ◆給油:27.21ℓ ◆燃費:12.42km/ℓ(満タン法)

新潟市内から関越道に入り、一気に練馬インターへ。車両の流れに逆らうことなく法定速度での走行を行った。さらに外環道を経由し、草加IC下車。日光街道を通り自宅のある足立区へ。
<燃費計測>
◆ 走行距離:338km(ODOメーターによる計測)
※給油前:86,338km(写真左)/給油後:86,676km(写真右)
◆給油:27.21ℓ
◆燃費:12.42km/ℓ(満タン法)

maxx03_%e6%ae%8b%e6%ba%9d%e6%b8%ac%e5%ae%9a ライフ長持ち性能を検証
関越トンネルに差し掛かると、周りの樹々は紅葉が始まり、日本海側からの風で押し出された雨雲が、群馬県側にせり出そうとしていた。標高の高い地域では、一足先に、冬の気配が感じられる。

せり出した雨雲を頭上にみとめながら、関越トンネルを抜けると、にわか雨に見舞われた。10分程度で雨の地域は抜けたのだが、その間の路面は、うっすらと水が浮いた状態。大容量の主溝(縦溝)が排水性を高めた結果、WINTER MAXX 01に比べ、ウェット性能が4%向上したというWINTER MAXX 02を装着したクラウンは、高速道路の継ぎ目や轍にハンドルをとられることもなく、終始安定した走りであったことも報告しておこう。

さて、WINTER MAXX 01でも好評だった「ライフ長持ち性能」は、同等以上の性能を実現したというWINTER MAXX 02。これは摩耗のきっかけが少ない高密度ゴムの採用が、摩耗の発生を抑制させるという技術によるものだ。

では、2,500kmの大半を高速道路で走行したクラウンの残溝はどうだったのだろうか。

ブレーキングやコーナリングで横方向に荷重のかかるフロントタイヤの減りは外側と内側で僅か0.1mm、加速時にトラクションのかかるリアタイヤの減りは、全体的に0.3mm程度という想像以上の結果だった。

高速走行では、タイヤの温度が上がりやすく、さらに夏タイヤよりコンパウンドが柔らかいスタッドレスタイヤの消耗テストには不利な条件ながらも、約2,500kmを走行した後の減りが最大で0.3mm。単純計算で、仮にオンロードを2万km走行しても2.4mmの減りに留まることになる。路面温度の低い雪上での走行も考慮すれば、さらにタイヤの減りは抑えられると言えるのではないだろうか。

さらに特筆すべきは、リアタイヤの減り(下記参照)が外・中心・内側すべて0.3mmと均一であったということ。接地圧の均一化を立証出来るテスト結果となった。

「雪が降る直前に履き替える」のではなく、「準備万端で冬を迎えたい」。そんな気を起こさせてくれるスタッドレスタイヤだ!

 

<テストデータ>
◆残溝測定(新品時)
トレッド面の外側:8.6mm
トレッド面の中心:8.6mm
トレッド面の内側:8.6mm

◆残溝測定(2,500km走行後)
<フロント右タイヤ>
トレッド面の外側:8.5mm
トレッド面の中心:8.6mm
トレッド面の内側:8.5mm
※トレッド面の両サイドが0.1mm減。

<リア右タイヤ>
トレッド面の外側:8.3mm
トレッド面の中心:8.3mm
トレッド面の内側:8.3mm
※トレッド面の全体が0.3mm減。

 

WINTER MAXX 02「長持ち」の秘密
◆「効きの長持ち」の技術

走行を重ねると次第にタイヤの中から軟化剤であるオイルが抜け、タイヤの硬化が始まる(図:左)のだが、100%石油外天然資源タイヤ「エナセーブ100」で培ったバイオマス技術を進化させ、高機能バイオマス材料「しなやか成分」を採用した新軟化剤により、周りのポリマーと結合し、抜けにくく(図:右)することで、効きも持続する。

走行を重ねると次第にタイヤの中から軟化剤であるオイルが抜け、タイヤの硬化が始まる(図:左)のだが、100%石油外天然資源タイヤ「エナセーブ100」で培ったバイオマス技術を進化させ、高機能バイオマス材料「しなやか成分」を採用した新軟化剤により、周りのポリマーと結合し、抜けにくく(図:右)することで、効きも持続する。

 

◆「ライフ長持ち」の技術

ゴムの中の混ぜ物とゴムの境目に力が集中した結果、ゴムが破壊され摩耗が進行しやすかった従来品(図:上)に対し、WINTER MAXXシリーズでは、混ぜ物のない高密度ゴムを使用。結果、摩耗の発生を抑制することが可能(図:下)となった。ライフ長持ち性能向上のメカニズムだ。

ゴムの中の混ぜ物とゴムの境目に力が集中した結果、ゴムが破壊され摩耗が進行しやすかった従来品(図:上)に対し、WINTER MAXXシリーズでは、混ぜ物のない高密度ゴムを使用。結果、摩耗の発生を抑制することが可能(図:下)となった。ライフ長持ち性能向上のメカニズムだ。

 

ハンドルを切った時の接地面積は、WINTER MAXX 01に対し、同等以上(接地面積指数102)とすることで、操縦安定性にも優れている。

ハンドルを切った時の接地面積は、WINTER MAXX 01に対し、同等以上(接地面積指数102)とすることで、操縦安定性にも優れている。

※最新テクノロジーの詳細は、ダンロップのカタログ、ホームページをご参照ください。
http://tyre.dunlop.co.jp/tyre/lineup/studless/wintermaxx/#tech

 

<専門店からの声>

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ジャンクション 野口店長
除雪が充実している新潟市内では、積雪路面は年間20日〜程度です。つまり、市内をメインに走行する限りは、冬といえどもほぼドライ路面を走ることになります。
乾燥路での直進安定性に優れ、スタッドレスながらもハンドリング感も良好です。コストパフォーマンスに優れたタイヤであるところも魅力ですね。

ジャンクション
〒950-0953 新潟県新潟市中央区大島172-1
http://www.junction-web.co.jp/

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三信石油株式会社 玉堤クルーSS 出井氏
社有車クラウンへのタイヤ装着から、残溝測定まで、一連の取材協力を快く引き受けて下さった出井氏。
タイヤ専門店でのキャリアも長い氏からは、「雪上&氷上性能はもちろんですが、ドライ路面での走りに加え、ロングライフ性能もスタッドレス選択肢のひとつになってきています」と、最近のスタッドレス選びのユーザー動向を語ってくれた。

三信石油(株)玉堤クルーSS
〒158-0087東京都世田谷区玉堤1-6-2
http://www.crew19ss.jp/

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Cross-J(クロスジェイ) 櫻庭社長
ジムニー専門店である一方で、櫻庭代表を慕うお客さん奥様のクルマなどの乗用車系タイヤ交換の依頼も多いクロスJ。
「青森県では、タイヤ販売会社主催によるスタッドレスの試乗会は毎年行われています。もちろんWINTER MAXX 02の試乗会も参加致しましたが、氷上でのブレーキングの制動距離(時速20km/h)も優れていましたね」と印象を語ってくれた。

Cross-J
〒036-8132 青森県弘前市狼森字西元5-3
http://www.cross-j.jp/