【林道ツーリング】宮城県/沼井林道他

2016.1.15

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温泉の百貨店に宿を取る

1日目は、山形との県境に近い鳴子温泉までの移動のみ。とは言え、自宅から約440km、約6時間のロングドライブとなる。JB23だと正直ツラいが、今回の足はJB23でもアピオのコンプリートカーTS-7。東北自動車道を『流れの速いグループ』に加わっても快適に移動できたのだ。

MAG-1601-01とても開放感があるのが、東北地方の林道の魅力的な特徴。標高が低いために、眺望は期待できないが、このゆったりとした雰囲気が何とも気持ち良い。

 

MAG-1601-02手つかずの原生林のような深い木々の間を走って行く。平日のためか、この日は1台のクルマともすれ違うことなく、自然をひたすら独占状態であった。

 

MAG-1601-03路面は整備が行き届いているため(?)、フラットダートで非常に走りやすい。所々荒れていたほうが、個人的には嬉しいのだけどな…。まぁ、それは贅沢ってもんだ!

 

MAG-1601-04広々とした道が続いているかと思いきや、このようにヤブ搔きのような場所も少なくない。今回はジムニーだから軽傷ですんだものの、もし大型車だったら…!

 

 

鳴子温泉は国道47号線の脇にある小さな温泉街だ。そして近くには、東鳴子温泉と川渡温泉、中山平温泉、鬼首温泉があり、それらと一緒に『鳴子温泉郷』と呼ばれていて、福島県の『飯坂温泉』、宮城県の『秋保温泉』とともに奥州三名湯に数えられている。ちなみに『鳴子温泉』の始まりは826年のことで、鳥屋ヶ森山の噴火により現在の温泉神社から温泉が湧出したと言い伝わる。

 

現地に着いて街中を散策したところ、温泉街特有の硫黄臭が漂ってきた。この臭いだけでも「温泉に来た!」と気分が高まる。そして駅前や公共駐車場など数カ所に足湯が設置されるなど外湯も多い。なんでも鳴子温泉郷にある源泉の数は400本近くに及び、日本にある11の泉質のうち、9種類が鳴子温泉郷に集まっているという。まさに『温泉の百貨店なのだ!』。

 

魅力たっぷりの温泉郷の中から我々が選んだ宿は、東鳴子温泉にある『湯の宿 紅せん』。温泉は、大浴場(内風呂と露天風呂)と貸し切りの家族風呂(内湯)、貸し切りの露天風呂を備えている。お湯はほぼ無色透明で硫黄臭もないが、湯持ちの良さが特徴だ。

 

食事は地場産の食材にこだわった、手作りの郷土料理。『豪華絢爛!』と驚くようなメニューではないものの、一品一品丁寧に調理されているのが伝わってくる。オトナ向けの薄味で、食材が持つ本来の味を堪能できるのが魅力と言えよう。優しく心温まる味付けだ。素直に美味いと感じた。

 

スタッフの対応を含めて館内にはゆったりとした暖かい雰囲気が漂っている。失礼ながら、建物や食事のメニューなど見た目は普通なのだが、非常に居心地が良い。あたかも自分の家で寛いでいるかのような安らぎを感じるのが高い人気の要因なのだろう。Yカメも一晩ゆっくりとして疲れが取れたようだ。さぁ、明日は思い切り林道を走りまくるぞ!

MAG-1601-05『湯の宿 紅せん』の貸し切り露天風呂。お湯はほぼ無色透明で、湯持ちの良さが特徴だ。他に大浴場(内風呂と露天風呂)と貸し切りの家族風呂(内湯)を備えている。

 

MAG-1601-06『湯の宿 紅せん』の夕食はメニューが豊富で、とても丁寧に調理されている。ボリュームも申し分なしで、人気の高い理由を実感出来た。

 

MAG-1601-07建物から豪華さは伝わりにくいが(失礼!)、とても質の高いサービスを提供する、人気の温泉宿。『湯の宿 紅せん』。http://www.beni-sen.com/

 

最終目的地は河原毛大滝湯

本日走る予定の林道は『沼井林道』と『宇土沼林道』、『桧沢林道』の3本。それぞれ10.7km、10.2km、9.7kmと、いずれもミドルクラスのダートだ。『宇土沼林道』と『桧沢林道』は並行しており、その間を通る道も約5.2kmのダートが残っている県道(262号線)。さらに、『沼井林道』と『桧沢林道』から約3kmの距離に17.1kmの『宝森箕ノ輪林道』が通っているなど、地図を見たら思わずにやけてくるほど林道の宝庫である。しかも鳴子温泉から『沼井林道』のアプローチ地点まで3kmほどの距離。鳴子温泉は林道好きにとって聖地のような温泉と言えよう。

MAG-1601-08鳴子温泉の町中には数カ所に足湯や手湯が設置されている。もちろん無料なので、これを利用しない手はない! なお町中に、硫黄臭が漂っている。

 

MAG-1601-09鳴子温泉の町中で人気の蕎麦屋『ふじや』のキノコそば。評判通り、蕎麦はコシがあって喉ごしも良好。何より豊富なキノコが美味かったのだ。

 

 

入り口が分かりづらい林道は少なくないが、鳴子温泉から『沼井林道』までは道が1本しかないので迷うことなく到着。沢沿いの林道で、一般道からそれるといきなりダート路面へと切り替わった。

 

路面はフラットダートで、整備が行き届いているのだろう、凸凹は少なくて非常に走りやすい。針葉樹が立ち並ぶ薄暗い中を走っていたかと思うと青空が広がる稜線に出たり、今度は広葉樹の森に変わったり。そして急にヤブが濃くなり、ジムニーでもスクラッチ確実の廃道チックなロケーションになったり、遠くの景色こそ望めないが、様々な表情を楽しめるのがGOOD!

 

森の中やコーナーではのんびりと走るが、稜線に出て見通しの良い直線ではついついアクセルを踏み込んでしまう。2駆でも走れるフラットダートだが、路面へのインパクトを考慮して4駆にシフトしている。だから勾配がきつくても4つのタイヤが確実にグリップしながらグイグイと進む。こんな時に、四駆の逞しさを実感する。そして「やっぱり林道は楽しいぜ!」。

 

30kmのダートを楽しんだ後は、これまたメインイベントとも言える『河原毛大滝湯』に向かった。『河原毛大滝湯』は、観光名所となっている『河原毛地獄』の近くにある野湯。約20mの滝が温水となっており、その滝壺や下流のくぼみなどが温泉として利用できるのだ。

 

駐車場から10分ほど歩くことになるが、それだけの価値は十分にある。なんとも開放的で野趣溢れる天然温泉だが、気をつけたいことがある。それは『強酸性温泉』であること。肌が弱い人だとすぐにヒリヒリと感じるだろうし、弱くなくても長湯は厳禁。また目に入ると、非常に浸みるので注意したい。

 

我々が着いたのは17時過ぎだが、それでも4グループ、12、13人が浸かっていた。水着着用がルールとなっていて、着替え用の小屋も建てられている。

 

温泉の温度は滝壺で40度ちょいくらいだろうか?熱湯が好きな筆者には物足りない…。とは言え、浸かっている時の気分は申し分なし。まさに手つかずの温泉。秘湯の中の秘湯である。

 

気が付いたら他の人々は全員いなくなり、筆者と山岡カメラマンだけで独占! それでも肌がボロボロになるので、長湯はできない。汗を流してサッパリしたところですぐに上がり、本日の宿泊地を目指した。
MAG-1601-10『河原毛地獄』の近くにある野湯『河原毛大滝湯』。無料駐車場から10分ほど歩くことになる。『強酸性温泉』なので肌が弱い人は要注意!

 

MAG-1601-11

背景に見えるのが『河原毛地獄』だ。散歩道が設けられているので、日頃の運動不足を解消したい人はどうぞ! ただし、指定場所以外は絶対に進入禁止ですぞ !!

 

文/内田靖 写真/山岡和正