【紹介/試走】SUBARU LEGACY OUTBACK

2014.11.14

    • 四輪駆動車
    • スズキ

オトナのクロスオーバー

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コンセプトは初代から変わらず
落ち着いたオトナのSUVワゴン

1994年にアメリカでデビューした「アウトバック」は、その翌年から「レガシィグランドワゴン」として日本での販売が開始され、その後の「レガシィランカスター」を経て、USモデルと同じ「アウトバック」の名が冠され現在に至る…という少々複雑な経緯を持つ4×4だ。

 

ただし、もとはレガシィツーリングワゴンをベースに、ステーションワゴンとSUVのクロスオーバー車として派生したモデルであり、以後、その一貫したコンセプトのもとに進化してきたクルマである。

 

この”クロスオーバー”というコンセプトは時として、「良いとこ取り」な分、どちらも中途半端な、目的の曖昧なクルマを生んでしまいがちな側面を持つが、スバルのラインナップはそれぞれのポジションが明確で、ユーザー層もはっきり別れているように思う。

 

今回フルモデルチェンジされたアウトバックにも、初代から受け継がれてきた「乗用車の快適性、SUVの走破性、ステーションワゴンの積載性を併せ持つ」というコンセプトに沿った開発が行われており、スポーツ指向に特化した、いわゆるホットモデルは存在しない。あくまでも、静かな2.5リッター水平対向4気筒NAとしなやかな脚で快適に移動できる落ち着いたオトナのSUVワゴンに仕上げられている。

 

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大幅剛性upのボディー&シャーシー
エンジンは8割のパーツが新設計

今回のフルモデルチェンジの注目ポイントだが、まずひとつ目は大幅な剛性アップが図られたシャーシー。素材や構造が見直され、ボディー全体のねじり剛性で約67%も向上しており、とりわけ前後サスペンション取り付け部分の剛性アップは、ステアリングレスポンスやサスペンション機能を飛躍的に向上させている。

 

そしてもうひとつの目玉は、エンジンの改良。型式こそ従来と同じFB25型2.5リッター水平対向4気筒DOHCガソリン(自然吸気)エンジンだが、吸気ポートやインテークマニホールドの構造変更等によって、出力、燃費、環境性能の向上が図られた。改良とは言え、約8割のパーツが新設計されており、新開発と呼んでも差し支えない内容と言って良い。

 

いずれも目に見えない部分の見直しであり、非常に地味な改良に見えるが、試乗して体感できるレベルの大幅な改良である。

 

この他にも、新型リニアトロニックの採用やサスペンションの改良、空力特性の向上、振動・騒音対策の強化等が行われ、全体的にワンランクアップした事が実感できる内容となっている。

 

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グレードによる走行性能の差はなし
スポーティー&上質感を狙った内装

試乗車は上位モデルのリミテッド。ただし、内外装の仕様とタイヤサイズが若干異なるだけで、下位モデルとの大きな違いはなく、走行性能に関しても大きな差はないと言って良いだろう。

 

強烈ではないが、静かに小気味よく吹け上がるエンジンは、実用回転域の扱いやすさを狙っただけあって、レスポンスが良くコントロールしやすい。吸気サウンドも、静かだが適度にスポーティーで、メリハリが利くドライビングをさらに楽しくしてくれる。

 

乗り心地はあくまでもしなやかで快適。ただし、フワフワした乗り心地とは別モノで、キビキビ走ることができる。特にステアリング操作に対するボディーの応答がリニアで、”ねじり剛性67%向上”がダテじゃないことを実感できた。

 

インテリアに関しては、華美でなく、かといって貧相でもなく、適度にスポーティー…という印象。乗員が手に触れる部分には触感や質感の良い素材が使われていて、「上質感を際立たせた」というのも頷ける内容である。

 

腰高なフォルムでも、重心を低くできるという水平対向エンジンならではの従来からのメリットを活かしつつ、大幅なボディー剛性アップと、それに伴うステアリングレスポンスの向上。そしてさらに扱いやすくなったエンジン。

 

新型レガシィアウトバックは、ツボの押さえどころが絶妙な、オトナのクロスオーバー・モデルらしい進化を遂げている。

 

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開放感もありつつ、適度なタイト感に包まれるコックピット。インパネまわりの質感も向上している。

 

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変速ショックの少ないCVT、新開発のリニアトロニックが採用されている。

 

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右はX-MODEスイッチ。エンジン、トランスミッション、VDC等を統合制御して最適な駆動配分を行う。

 

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スポーティーなアナログ2眼メーター。走行モードや警告等によって色が変わるリング照明が採用されている。

 

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運転席のランバーサポート機能が増強され、腰部への負担軽減が図られた。リクライニング可能なリアシートも快適。

 

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リアシートは分割可倒式。フォールディング操作は軽く、女性でも容易。

 

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フロントサスはストラット式。スタビライザーのマウント位置がロアアームからストラット本体に移動し、より高効率になった。

 

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2.5リッター水平対向4気筒DOHCガソリンエンジン。最高出力129kW(175PS)/5,800rpm、最大トルク235Nm(24.0kgm)/4,000rpmを発生。

 

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吸気ポートの形状とサイズが見直され、燃焼効率向上が図られた。

 

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アクティブグリルシャッターを新採用。フロントグリルに設置され、空気の流入を制限することにより空気抵抗の軽減を図る。

 

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リミテッドの標準タイヤは前後とも225/60R18サイズ。

 

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サスペンションがマウントされる付近の赤い部分が強化され、ボディー剛性が飛躍的に向上した。