【紹介/試走】TOYOTA SIENTA(シエンタ)

2015.9.25

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cienta_02“Active & Fun”がコンセプト

初代シエンタがデビューしたのは’03年のこと。10年に販売を中止したものの、このパッケージを求める人は多く、その声に応えて11年に生産、販売を再開。そして、今年7月に2世代目モデルへとスイッチした。

 

コンパクトなサイズながら、室内高を与え、キャビンにおける広々感とサードシートを備えたパッケージングといったコンセプトは、初代モデル譲り。しかし、初代デビューから12年を経て大きく変わったことは数多くある。

 

まず、フォルムだ。
先代はいわゆる箱形形状をベースとしてたが、新型はハッチバックかのようなスタイリッシュさを与え、スポーティなイメージを強めている。全高が抑えられた 印象を受けるが、実際には初代モデルとほぼ同じ。パッケージは、フロア高を従来よりも55mmダウンさせて乗降性を高め、また、シートレイアウトを後方へ といくにつれてヒップポイントをアップさせることで、どのシートに座っても視界を確保するなど、快適性を求めて大きく改良が施されている。

 

さらに、デザイン。
トレッキングシューズをイメージしたというエクステリアは、デザインはもちろん、色使いを含めて派手さを感じるもの。しかし、”Active & Fun”というキーワードがダイレクトに表現されており、その楽しさに気付くとスポーティと受け取れるようになるはず。そのテイストは、フロントマスクや リアバンパーに採用されたガーニッシュにブラックの色合いを組み合わせることで、そのイメージはさらに強調されている。ちなみに、ガーニッシュ部に、ブラ ウンやブルーを組み合わせたフレックストーンと呼ばれるボディ色(組み合わせ)も設定している(撮影車両は、フレックストーンのグリーンマイカメタリッ ク+ブラウンパール)。

 

 cienta_03進化するシエンタとその魅力

インテリアも、エクステリアに負けず劣らずだ。
大胆な造形を用いたインパネは上下をゾーン分けし、そこにオレンジの加飾を用いて、スポーティさをアピール。かと言って、奇をてらったテイストにはしてお らず、使い勝手と楽しさを上手くバランスさせている。シートはコンパクトボディを感じさせないゆとりあるサイズも手伝って、ゆったり感あふれる作り込みが 印象的。セカンドシートは足下スペースにゆとりを感じさせ、サードシートは幅を広げたことにより窮屈感を払拭するなど、ここもまた先代から大きな進化を果 たしているポイントだ。

 

そしてパワーユニット。
カローラシリーズのマイナーチェンジモデルから搭載されている新しい1.5 Lガソリンエンジンのほかに、ハイブリットユニットを設定。ついついハイブリットユニットの燃費とパフォーマンスに注目してしまうが、ガソリンエンジンの パワフルさもトピックとなっている。また、先進安全装備である”Toyota Safety Sence C”と呼ばれる衝突回避支援パッケージをオプション設定していることもポイントだ。これは前回紹介したカローラフィールダーに搭載されていた装備と同じ で、レーザーレーダーと単眼カメラによって前方の障害物を検知して警告を行い、それでも衝突が避けられないと判断すると、回避、被害軽減を支援する”衝突 回避支援型プリクラッシュセーフティ”、カメラによって車線逸脱を教えてくれる”レーンディパーチャーアラート”、夜間の前方視界確保をアシストしてくれ る”オートマチックハイビーム”から構成されている。

 

と言うように、ミニバンたる機能性、使い勝手の追求だけではなく安全装備の充実に至るまで、進化を果たし多くの魅力を備えたシエンタだが、その走りにもトピックは数多くある。

 

cienta_05いよいよ試乗〜その走りに進化が光る!

今回テストしたのは、1.5 L ガソリンエンジン搭載モデルだが、これが、その排気量から想像される以上に軽快に走る。もちろん、過給器はなくNAだ。新しい1.5 L エンジンは、低中回転域のトルクをしっかりと確保した上で、高回転までパワーを引き出すユニットであり、その良さを引き出せる制御としたCVTによって、 パワフルさを感じるほど。

 

たとえば、発進時は、アクセルを踏み込んだ途端にエンジン回転数をスッと上げ、ダイレクト感を伴ってパワーを発生させ、唐突なトルク変動を感じさせぬまま に、クルマをグイグイと加速させていくのだ。深く踏み込めば、CVTが一気に高回転域へと誘う。さすがにそこにはパンチはないものの、パワー落ちを感じさ せることなく、加速を与えてくれる。それでいながら、低速域でのスムーズさ、アクセルオフによる減速感など、扱いやすさも手に入れているからオドロキだ。

 

そして、シャシー性能も優秀だ。最近のトヨタのモデルは、シャシーの剛性をしっかりと確保した上で、サスペンションのストローク感を上手く使って、快適性を作り込んでいる(もちろん、それを支えるボディ剛性も高めていることはいうまでもない)。

 

このシエンタでは、さらにシャシーのしなやかさが加えられており、走り出した瞬間からサスペンションが自在に、そして素直に動くフィーリングが伝わってく る。高速域では、そもそもベースとなっていた剛性感が全面に現れ、余計な動きを見せることなく、フラットライド感を提供してくれる。ただし、1名乗車だ と、低速域における大きな入力に対しては、リバウンド時にあと少しの減衰力を求めたくなることもある。とは言っても、高速走行となればそれを感じることも なくなるし、何よりも、ひとりで乗るクルマではないと考えると、それを不満とは思えなくなる。

 

ワインディングでは、ロールを消し去るのではなく、ロールさせながらも、その過渡域のスピードコントロールが的確であることが印象に残った。ハンドリングに見合ったロールフィールは、ドライバーはもとより、乗員にも安心感を与えてくれるものだ。

 

新しいシエンタは、使い勝手に優れることからお母さんを喜ばせるだけではなく、ステアリングを握るお父さんまでも楽しませてくれるモデルだ。まさに、使えるだけではない、どこかへ出掛けたくなるそんな魅力がある。

 

cienta_cap01スタイリッシュなフォルム、ガーニッシュによる大胆なデザインなどをトピックとする。全幅を1695mmに止めただけではなく、全長を4235mmと取り回しに優れるサイズ感としたこともポイント。 さらに走りは、剛性感の高いシャシーが、コーナリングでの粘りを見せる。ロール量を抑えたというよりも、ロールスピードを上手くコントロールしており、唐突な動きを見せないところも印象的だった。

 

cienta_cap02フロント同様に、ガーニッシュやコンビネーションランプデザインによって、スポーティかつアグレッシブなテイストをもつ。リアゲートは上開きタイプ。

 

cienta_cap03スポーティなデザインに、さらにヘッドランプからボトムグリルまでを囲うように配置されたガーニッシュが特徴的。

cienta_cap04オプションのLEDランプパッケージを装着。ロー・ハイビーム、さらにクリアランスランプもLEDとなる。

 

cienta_cap06現行型カローラシリーズ(後期)から採用された直4/1.5L(2NR-FKE型)を搭載。低・中回転域での扱いやすさはそのままに、燃費を向上させている。

 

cienta_cap05試乗したグレードのガソリンGは、本来15インチのスチールホイールを標準装備するが、撮影車はオプションの16インチアルミホイールを履いていた。タイヤサイズは195/50R16。

 

cienta_cap07的確なサポート性、適度なサポート感、ゆとりを感じさせるサイズなど、快適性とスポーティさをバランスさせたフロントシート。

 

cienta_cap087名乗車モデルのセカンドシートはベンチタイプ、5:5分割式となる。それぞれにスライドさせることも可能。広々とまでは表現できないが、足下にゆとりが生まれている。

 

cienta_cap09従来よりもシート幅が広げられたこともあり、大人も座れるようになったサードシート。ただし、ロングドライブは遠慮したい。

 

cienta_cap10サードシート使用時でも、バッグが置ける程度のスペースを確保。ちなみに、ラゲッジルームフロア高は505mm、開口部の高さは1040mmを確保。

 

cienta_cap11セカンドシートを倒し、サードシートを格納した状態での奥行きは1430mm、幅は1260mmを確保する。

 

cienta_cap12セカンドシートはワンアクションでシートバックを倒し、前方へと持ち上げるタンブル機構を備える。サードシートは2アクションでセカンドシート下へと格納できる。

 

cienta_cap13スライドドア開口部は初代モデルよりも50mm広げて665mmとし、さらにフロア高を330mmとすることで、セカンドシートはもちろん、サードシートへの乗降性もアップさせている。

 

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