【紹介/試走】カローラフィールダー

2015.7.30

    • 最新クルマ事情
    • トヨタ

カローラ_02

マイナーチェンジを果たしたカローラフィールダーとは…

トヨタのスタンダードサルーンであるカローラ・アクシオをベースとして、ステーションワゴンスタイルを表現したカローラフィールダー。2012年にデ ビューを果たした現行型は、13年にはハイブリッドモデルを追加し、今年3月にフェイスリフトを含むマイナーチェンジを行ったばかりだ。

 

マイナーチェンジのポイントのひとつであるエクステリアデザインの変更は、大掛かりであり、誰でもすぐに分かるものだ。フロントマスクは、アンダーグリル デザインを強調したトヨタ独自デザイン”アンダープライオリティ”を表現したことがポイントとなっている。大型かつ台形のグリルとワイド感を表現したバー によって、そのイメージを一新。アッパー部は、グリルからヘッドランプへとメッキを繋げることでワイド感を表現し、シャープなヘッドランプデザインが精悍 さを作り上げている。リアビューは、コンビネーションランプ形状を変更し、リアゲート部にまで連続させることでワイドかつシャープなイメージを作り上げて いる。

 

「Toyota Safety Sense C」の採用もトピックだ。機能としては3つあり、衝突回避、衝突時の被害軽減を狙った「プリクラッシュセーフティシステム」、車線逸脱を警告してくれる 「レーンディパーチャーアラート」、ヘッドランプのハイ/ロービームの切り替えを自動とすることで、積極的にハイビームを利用できるようになり視界を確保 する「オートマチックハイビーム」から構成される。

 

また、ハイブリッドユニットに大きな変更はないが、制御の見直しによってカタログ燃費値を33.0→33.8km/Lへとアップさせていることもポイント。ちなみにガソリンエンジンモデルでは1.5Lガソリンエンジンを新型へとスイッチさせている。

カローラ_03路面トレース性は石畳を走っても変わることなかった。

タイヤがバタバタとすることもなく、タイヤをしっかりと路面へと接地させてくれていた。

乗員を安心させるしっかりとした剛性感

走り始めてすぐに感じ取れるのは、クラスを感じさせない剛性感だった。分かりやすい表現を使うならば、しっかり感。それはボディからシャシーに至るまで、 幅広い。現行モデルのBプラットフォームはヴィッツでも使われているものだが、過去にお伝えしたとおり、このプラットフォームには、走りの基本性能を優先 した設計が施されており、つまり、オーバークオリティを感じるところが多くある。ボディ剛性は、その分かりやすい例のひとつだが、それによってドライバー は素直なハンドリングを、乗員は安心を感じ取ることができるという利点がある。

 

カローラフィールダーからも、その基本性能をまず感じ取ったという訳だ。乗り心地についてはストローク感を使って、ゆったりとしたフィーリングを作り上げ ており、快適と感じ取ることができる。あえて、石畳といったシーンを走ってみたが、タイヤが路面をトレースしきれずに、バタバタとした動きを見せるような こともなく、そのポテンシャルを確認することができた。

 

高速道路では、その快適性をさらに強く感じる取ることができる。少々の横風があろうとも直進性に不足はなかったし、また、レーンチェンジにおいては、ハンドリングの素直さとシャシー剛性の高さから、まさに余計な動きを見せることなくこなしてしまう。

 

ただ、市街地、高速道路すべてにおいて、路面が少々荒れたところでは、コトコトといった音、振動がある。先に書いた、しなやかとは異なるフィーリングであるため、目立つこともあり、気になるレベルではあったが、不満を抱くようなレベルには届いていなかった。

 

カローラ_04高い直進性は乗員に安心感を、ハイレベルなシャシー剛性はドライバーにレーンチェンジでの安心感をもたらしていた。

遮音性による静粛性も印象に残った。

低燃費技術も秀逸!

パワーユニットは、いうまでもなく不足なく。市街地では、発進時はモーターのみでスタートし、必要に応じてガソリンエンジンを始動させ、負荷の少ない速度 域に達するとモーターのみの走行となる。低燃費を引き出すには、このEV走行をいかに利用するかがキーとなるが、クルマ側が走行状況を判断してくれるた め、アクセルワークに気を遣うことはなくドライビングできた。ちなみに、実走行燃費は80km/h巡航で28~29km/Lを記録しており、低燃費という 期待に応えてくれるもの。カタログ燃費値である33.8km/Lに近づける、超えるためには、いかにEV走行を多用するかにキーがあり、高速道路ではな く、たとえば、信号が少なく、2車線以上、クルマの少ないようなバイパス国道をまったりと走る、そんなシーンで実現できる。

 

カローラ_05外から見るとコーナーではロールはしていることが分かる。

しかし、乗っていると、ロールフィーリングは穏やかであり、快適性と扱いやすさを感じる。

どこへ行こうか! そんな気にさせてくれる5ナンバーワゴン

ワインディングでは、スポーツカーに通じるようなダイレクト感やシャープさには届いてないが、基本性能に支えられた素直さがスポーティなドライビングを引 き出してくれていた。コーナー手前で減速して、ステアリングを切り始めると穏やかにロールが発生し、ステアリングを切り足していくと、それに伴ってロール も深くなっていく。そのフィーリングはあまりに穏やかであるために、ロールしていることをあまり意識させず、つまり、ドライバーにとっては意のままに操れ ることを感じ、乗員にとっては快適性を感じ取れるものとなっている。

 

もちろん、それはスポーツカーのような高い速度域での話ではなく、あくまでも快適性を感じ取れる速度域での話。しかし、速度域は違えども、ワインディングでも走りを楽しめるというスポーティーさがカローラフィールダーにもあることを確認できた。

 

いうまでもなく、カローラとしての基本性能、フィールダーとしての基本性能に長けていることもポイントだ。ボディサイズは、5ナンバーサイズに止めただけ ではなく、実は先代モデルよりも全長を短くしながら、リアシートの居住性を高め、さらにはラゲッジ容量を増やすなど、まさにニッポンのスタンダードたるサ イズと、ユーティリティに優れるというパッケージを両立している。Toyota Safety Sence Cについては、もちろんプリクラッシュセーフティシステムをテストすることはできなかったが、そのパッケージにオートマチックハイビームを含めて、多くの グレードに標準装備もしくはオプション設定するというスタンスは、高く評価したい。

 

このように、装備、ユーティリティから走りに至るまで、シンプルでありながら、不足がないどころか、”十分”を感じ取れる。だから、どこかへ出掛けたくなる。それがカローラーフィールダーのアドバンテージだ。

カローラ_06

 

カローラ_07デビュー当初は柔らかい表情を特徴としていたが、マイナーチェンジでそのイメージを一新。ロアグリルを大型の台形デザインとし存在感を、ヘッドランプとアッパーグリルにワイド感と精悍さを表現した。ただしサイド部は基本的に従来のまま。

 

カローラ1マイナーチェンジで変更されたのはコンビネーションランプ。バンパー下部のディフューザーデザインは、W×とAEROTOURERに標準装備。

 

カローラ_09インパネはエクステリアほどの大きな変更点はなく。ピアノブラックとメッキによる加飾が印象的。ハイブリッドモデルながらタコメーターが付く。

 

カローラ_10シフトパターンはトヨタハイブリッドパターンではなく、ATでよく見かけるゲート式。ただし、ギア固定(ホールド)はBレンジのみ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カローラ2シート形状はサポートを明確にしたスポーツシートタイプで、表皮はスエード調トリコットを採用している(フロントシート:写真右)。
サポートを意識させない座り心地はまさに快適性を狙ってのもの。先代よりも足下のスペースにゆとりが生まれていることもポイント(リアシート:写真左)。

 

カローラ_12デッキアンダートレイは、前後2分割式として、使い勝手を提供。そのトレイの深さは最短部で63mmとなっている。

 

 

 

 

 

 

 

カローラ3リアシート使用時、幅は1510mm、奥行きは970mm、容量は407Lを確保。ちなみにトノカバーを標準装備している(写真左)。
リアシートは4:6分割可倒式を採用しており、片側だけ倒すアレンジも可能。その奥行きは最大で2025mm、リアシートをともに倒すと容量は872Lとなる(写真右)。

 

カローラ_14Toyota Safety Sence Cで利用されるセンサー類は、フロントウインドウ上部に取り付けられている。左上から単眼カメラ、その右側がレーザー受光部(2つ)、そして下段にレーザー発光部がある。

 

 

 

 

 

 

カローラ_15パワーユニットは1NZ-FXE型1.5Lガソリンエンジンと1LM型モーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載。

 

 

 

 

 

 

 

カローラ_16AEROTOURERには16インチアルミホイールが標準となる。タイヤサイズは185/55R16で、テスト車両はミシュラン・エナジーセイバーを履いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カローラ4取材車両のヘッドランプはオプションとなるBi-Beam LED+LEDクリア ランスランプ+コンライトを装着し、精悍さを強調している(写真左)。
テールランプは、LEDタイプを標準装備するが、フロントにBi-Beam LED+LEDクリア ランスランプ+コンライトを装着していることから、その発光はラインタイプとなる。

 

カローラ_18トータル燃費は20.4km/L。カタログ燃費値(33.8km/L)とは差があるが、ワインディングを幾度も走り、山を上っては下りを繰り返すという、取材ならではの悪条件だったことを考慮すると優秀と言えよう。

 

 

 

 

 

 

カローラ_19カローラとしては11世代目、フィールダーというサブネームが与えられてからは3世代目となる。ちなみにハイブリッドモデルが搭載されたのは現行型より。取材車両は、カローラフィールダーHYBRID G AEROTOURER。