【紹介/試走】LEXUS RX & NX

2017.1.21

    • プレミアムSUV
    • レクサス

注目のクロスオーバー・コンパクト

2017012101試乗モデルはNXとRX。いわゆるクロスオーバー系SUVで、レクサスシリーズでは販売の上位を占める稼ぎ頭だ。両者とも昨年8月に小変更を受けた程度で、さほど大きな変更点はない。

2017012102レクサスNX300h version L(AWD)

 

 

NX:ハイブリッドならではの加速フィール

 

UV系では最後発(2014年7月発売)モデルであるNXのラインナップは、2リッター直4DOHCガソリンターボ(8AR-FTS型)を搭載する「200t」と、2.5リッター直4DOHCガソリン(2AR-FXE型)+電気モーターのハイブリッドシステムを搭載する「300h」の2タイプが用意される。

 

両モデルとも「version L」「F SPORT」「I package」、そして特別仕様車「Urban Style」と4つのグレードを設け、全てのグレードにFWDとAWDが設定されており、バリエーションは合計16タイプで、選択肢の豊富さは発売当初からのセールスポイントだ。昨年8月のマイナーチェンジでは、「F SPORT」のボディーカラーに専用色(ラヴァオレンジクリスタルシャインとヒートブルーコントラストレイヤリング)が追加され、それに合わせて内装もコーディネイトされている。

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今回試乗したグレードは2.5リッター直4+電気モーター搭載のハイブリッド車NX300h(AWD)の「version L」。

 

フロントだけでなくリアにも電気モーターが搭載され、前後でモーターのアシストが働くシステムのため、発進時の分厚いトルク感と静かでスムーズな加速感覚は、ハイブリッドでしか味わえない醍醐味と言ってよいだろう。

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ちなみに、2リッター直4ターボ版のNX200t(AWD)には、プロペラシャフトを介して前後100:0〜50:50までの駆動力配分を行うオーソドックスな4×4システムが採用されている。後輪を独立した電気モーターのみで駆動するN300hの力強い加速感は、トルクフルであるだけでなく、より緻密な駆動力配分が与えられる方式と思われる。

 

ワインディング路での高速コーナリングでも非常に安定した体勢が維持でき、他のスポーツセダン系レクサスに負けないスポーツ走行が可能だ。

 

また、標準タイヤが18インチの60タイヤということで、路面の凹凸をよく吸収しゴツゴツしない点も、SUVとして適切なポイントだろう。

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このほかNXで印象的なのは、スポーティーとシックを両立させた質感の高いインテリアデザインだろう。クロスオーバー系では兄貴分にあたるRX譲りの居住性の良さを誇るシート群も然り。ユーティリティー面も含め「練れている」という印象、そんな最後発モデルらしさが魅力だ。

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20170121112017012112レクサスRX200t F SPORT(AWD)

 

RX:2L直4だが、より重厚な乗り心地

 

さて、もう一方のRXのラインナップは、NXと同型の2リッター直4DOHCガソリンターボ(8AR-FTS型)を搭載する「200t」と、3.5リッターV6DOHCガソリン(2GR-FXS型)+電気モーターのハイブリッドシステムを搭載する「450h」の2タイプ。両モデルとも「version L」「F SPORT」の2グレードが設けられ、それぞれにFWDとAWDが設定されているので、バリエーションは合計8タイプとなる。このうち「F SPORT」のFF(2WD)モデルは、昨年8月のマイナーチェンジで追加されたものだ。

 

今回試乗したグレードは、2リッター直4ターボを搭載するRX200tの「F SPORT」。この直4DOHCガソリンターボは、最高出力175kW(238PS)/4,800〜5,600rpm、最大トルク350Nm(35.7kgm)/1,650〜4,000rpmを発生する、立ち上がりとレスポンスの鋭いパワフルなユニットで、弟分のNX200tに搭載されるユニットと同じスペックだ。

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欧米勢も含めて、最近の2リッターガソリンエンジンは、最早ひと昔前のそれとは比べものにならない発進加速や低回転域トルクの太さが際立つが、このRXの2リッターは、それに静粛性や滑らかさが加わり、さらに洗練されている印象である。

 

単に大パワーが楽しいだけではなく、扱いやすく、街中を走っていても必要なときに充分なパワーが発揮され、ストレスなく操れるパワフルさ…なのだ。

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サスペンション設定は、タイトでありながらフトコロの深い重厚感が好印象。NXと較べると、この重厚感がさらに明確になる。

 

内装も落ち着いたオトナの装い…を感じる。特筆すべきは、リアシートの快適性だ。これは初代ハリアーの時代から感じていたことだが、とにかくレッグスペース、ヘッドルーム、シートの硬さ、形状とも全てが快適でよく作り込まれている。長距離を快適にこなす、数少ないSUVのひとつと断言してしまおう。

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今回の試乗では、両者とも「最新モデルでの新発見」と言うよりは、その出来の良さをあらためて再確認する形となったが、まだまだ進化の余地はありそうだ。

 

クロスオーバー系のコンパクトクラスで乗り出し600万円オーバーが当たり前…という価格設定は、さすがにオーナー層も限られてくるので、同性能で装備グレードを落とした普及版等の設定も望まれるところだが、SUV人気を支えるメインのクラスとしての今後の進化も要注目である。

 

 

文/内藤知己
写真/宮島秀樹