【紹介/試走】MERCEDES-BENZ GLA250 4MATIC

2015.6.5

    • プレミアムSUV
    • Mercedes Benz

クロスオーバー色の強いエントリーモデル

A14K5314

FFも選べるメルセデス初のコンパクトSUV

A14K5146昨年5月にメルセデスの日本向けラインナップに新たに加わったGLAクラス。車名の頭に「G」が使われているモデルは、いわゆるSUVに位置付 けられるモデルで(もちろんGTは除く)、メルセデスのSUVは、Gクラス、GLクラス、Mクラス、GLKクラス、そしてこのGLAクラスと5モデルにバ リエーションが増えた。

 

このGLAクラスはAクラスおよびBクラスとプラットフォームを共用するモデルで、基本的には乗用車がベースとなっている。この上のGLKクラ スはCクラスのプラットフォームをベースとしたモデルで、乗用車をベースとしているのは同じだが、スタイリングは四角張ったSUVらしい形だ。一方、 GLAはより柔らかいフォルムのステーションワゴン的なスタイルとなっており、全高も1,505㎜しかない。いわゆるクロスオーバータイプとしての性格を 強く打ち出しているのだ。それは駆動方式が4MATICのみとなっている他のメルセデスSUVに対し、FFモデル(GLA180)が設定されていることか らも分かるだろう。

 

GLAクラスの日本仕様のエンジンは、122PSを発揮する1.6リッター直4ガソリンターボ(GLA180)と211PSを発揮する2リッ ター直4ガソリンターボ(GLA250)がメイン。これに、以前レポートした360PSを発揮するAMGの2リッター直4ガソリンターボ(GLA45 4MATIC Edition1)も用意されている。ボディータイプは5ドアの1種のみだが、GLA45以外には、標準サスペンションに加え、スポーツサスペンションを 採用して車高を落とした「Sports」と、オフロードコンフォートサスペンションで車高をアップした「Off-Road」が用意されている。なお。 GLA180は4×2仕様しかないのだが、「Off-Road」が設定されているのでちょっと紛らわしい。4×4ファンは間違って買ってしまわないよう に。

 

試乗したのはGLA250 4MATIC。モデル名のとおり4×4システムはメルセデスお得意の4MATIC。GLAクラスはFFベースなので、通常はほぼFF状態での走行となる。 2リッター直4ガソリンターボに組み合わされるトランスミッションは、デュアルクラッチ機構を採用した7G-DCT。S(スポーツ)モードとM(マニュア ル)モードを備え、パドルシフトでもシフト操作が可能だ。サスペンションはフロントにマクファーソンストラット、リアにマルチリンクという組み合わせで、 試乗車は標準仕様である。なお、「Sports」は約10㎜ダウン、「Off-Road」は約30㎜アップとなる。

 

インテリアは、インパネの加飾が一部異なるものAクラスとほぼ同様。アイポイントは低く、着座ポジションもやはり乗用車的である。そういう意味ではSUVビギナーも違和感なく乗用車から乗り換えられるモデルと言えるだろう。

 

211PSの2リッター直4ターボはパワフルというよりも、実にスムーズなフィーリング。乗り心地はしなやかで、扁平率が高いタイヤを履いて、 変にスポーティーな演出をしているような同クラスのSUVよりも遥かに好感が持てる。だからと言って、ハンドリングがダルい訳ではない。ドライバーの操舵 にリニアに反応し、カチッと進路を変更し、狙ったラインをトレースできる。車高の低さも功を奏しているのだろうが、このあたりの実直さはいかにもメルセデ スらしい。高速走行もフラットライドで、静粛性もハイレベル。高速域のチューニングも、やはりメルセデスは巧みであると再認識された。

 

標準仕様のオンロードでのレベルの高さは実感できたが、やはり気になるのは30㎜高い車高が与えられた「Off-Road」。GLA250 4MATICには全車標準でオフロードモードが装備されており、このモードを選択すると悪路走行に適したギアとアクセルの制御が行われるようになってい る。また、急勾配の下りで任意の車速に保てるDSR(ダウンヒル・スピード・レギュレーション)も搭載されているので、本格的なオフロード走行にはもちろ ん向かないだろうが、雪道をはじめ林道や河原程度なら安心して走れそうである。もうひとつのギミックとして、前輪の切れ角や前後左右の車体の傾きなど、悪 路走行に必要な情報を7インチディスプレイに表示する「オフロードスクリーン」なる走行支援システムも標準装備されている。近いうちのこのモデルも試乗し てみたいと思う。

 

カタログでは「メルセデスの伝統が生んだ初めてのコンパクトSUV」として紹介されているGLAだが、正直、ルックスも内装も、同じプラット フォームのユーティリティーカーであるBクラスと何が違うの、という感じではある。確かに最低地上高がより高く、オフロードモードも搭載されているGLA だが、同じような仕様のモデルで比べるとBクラスの方が安い…。「多芸は無芸」とも言われる。走りなりルックスなりに、SUVとしてのインパクトがも う少し欲しいと思うのは筆者だけだろうか。

 

A14K5120【エンジン】
FFベースでエンジンは横置き。2リッター直4エンジンは最高出力155kW(211PS)/5,500 rpmと、リッターあたり100PSオーバーでなかなかパワフル。最大トルクは350Nm(35.7Kgm)/1,200〜4,000 rpmで、低い回転域から幅広い回範囲でピークトルクを発揮する。

 

A14K5151【インパネ全景】
Aクラスとほぼ同じデザインのインテリア。GLAクラスのみに採用されているインパネ中央部分の大型加飾パネルがアクセントとなっている。
トランスミッションはデュアルクラッチ式7速AT。トルコンと違って、レスポンスが早く効率の良い動力伝達ができる。ステアリングにはパドルシフトも装備。

 

A14K5171【メーター】
2連メーター中央部には、様々な車両上を表示するカラーディスプレイを装備。燃料計や水温計がアナログタイプとなっているのが良い。

 

A14K5180【ラゲッジスペース】
ラゲッジスペースの容量は421L。リアシートをたたむと1,235Lに拡大する。フックやネットポケットが配置されており、使い勝手は良さそうだ。

 

A14K5044

A14K5039●SPECIFICATION…全長×全幅×全高:4,430×1,805×1,505mm/ホイールベース:2,700mm/定員:5名/エンジン 形式:直列4気筒DOHCガソリンターボ/排気量:1,991cc/最高出力:155kW(211PS)/5,500 rpm/最大トルク350Nm(35.7Kgm)/1,200〜4,000 rpm/トランスミッション:電子制御7速AT/駆動方式:四輪駆動/サスペンション:前マクファーソンストラット・後マルチリンク/ブレーキ:前後ベン チレーテッド・ディスク/ステアリング形式:ラック&ピニオン/タイヤ(標準): F&R:235/50R18/車両本体価格4,770,000円(税込)