【紹介/試走】TOYOTA COROLLA TOURING HYBRID S

2019.10.31

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新しいカローラの実力

新ワゴン系は「ツーリング」と命名
合計10タイプをラインナップ

今年9月のフルモデルチェンジで、国内では約13年ぶりに「カローラ」という、サブネームの付かないネーミングが復活した12代目カローラ。
 
現行の国内カローラ・ファミリーは、コンパクト系の「カローラスポーツ」、セダン系の「カローラ」「カローラアクシオ」、そしてワゴン系の「カローラツーリング」「カローラフィールダー(従来型)」と、5つのボディータイプで販売されている大所帯ファミリーである。
 
今回は、ワゴン系のニューモデルである「カローラツーリング」のハイブリッドモデルの試走を行ったのだが、このカローラツーリングの選択肢は、全部で10タイプも用意されている。
 

1.8リッター直4ガソリン+電気モーター搭載のハイブリッド車と1.8リッター直4搭載のガソリン車にはそれぞれに「W×B」「S」「G-X」の3グレードを設定。
 
またハイブリッド車の全グレードに“E-Four”と呼ばれる後輪をモーターで駆動するタイプの4WD車が設定されるほか、ガソリン車には1.2リッター直4ターボ搭載の2WD車(6速MT/W×Bグレードのみ)もラインナップされる。
 
試乗車両は1.8リッター直4-DOHCガソリン(2ZR-FXE型)+電気モーター(1NM型)を搭載するハイブリッドの2WD車。トヨタSUV系で言えばC-HRが搭載しているパワーユニットと同型だ。
 
個人的にはC-HRの試乗でその軽快さが印象的だった1.2リッター直4-DOHCガソリンターボ(8NR-FTS型)搭載のガソリン車も興味深いが、まずは最も注目度の高いハイブリッド車を…ということで、「HYBRID S」に試乗した。
 

グレードは、主にシート表皮やトリム類、メーターの仕様等のインテリアや装着タイヤなどによって差別化されるが、今回の試乗車は中間グレードのSながら、オプションで多数の上級装備をインストールされているためか、チープ感は全く感じない。言い換えれば、このグレードが持つ雰囲気があまり正確には伝わらないかも知れない。
 
また、安全機能装備面では、単眼カメラとミリ波レーダーによる先行車および歩行者との衝突回避システムや車線逸脱警報、オートマチックハイビーム、全車速追従/ブレーキ制御付レーダークルーズコントロール等の安全装備が全車標準装備となっており、グレード間に大きな差異はない。

 

チープ感ゼロの仕上げと造り込み
その完成度と経済性に納得

ドライバーズシートに座ってまず感じるのは、「カローラ」という大衆車イメージからはかけ離れた“上質感”だ。
 
もちろん、カローラというクルマに対するイメージは世代によっても異なるだろうが、本革巻きのステアリングホイールやシフトノブを始めとして、手に触れる部分や視界に入る部分に、高級とまでは言わないまでも、チープな印象を全く与えない造り込みが行われており、これには少なからず驚かされた。
 

走り出すと、この上質感はさらに増していく印象で、程良い硬さのクッションとホールド感を持つファブリックシート、ニュートラルで適度にクイックなステアリング、発進時から力強く立ち上がるパワーユニットのトルク感、ハイブリッドならではの静粛性等が短時間でダイレクトに伝わってくる。
 
最高出力98PSの1.8リッター直4ガソリンエンジン+最高出力72PSの電気モーターが引き出すパワーは、低回転域からストレスのない加速を見せるが、これは“手に負える範囲”を逸脱しない程度のフィーリングであり、多くのドライバーに操る快感を与えることができるだろう。
 
フロント:マクファーソンストラット、リア:ダブルウイッシュボーン+コイルの脚まわりは、ソフトな乗り心地を維持しつつも、ワインディング路ではカッチリとしたコーナリングが可能なセッティングで、適度なロールと素早く収束する特性を持った快適かつ安心感の強いサスペンションと言える。
 

電力消費量や走行モードの設定、あるいはドライバーの操作等にもよるが、概して初期のハイブリッドモデルに較べると、モーターのみで走行する場面も多く、ガソリンの消費量はどんどん減っているように感じる。
 
また、EV走行時に気になる風切り音やタイヤのパターンノイズ等の走行ノイズも小さくなり、遮音処理の進歩も感じられた。
 
カローラの進化とクオリティの高さに驚かされた今回の試走だったが、当然ながらこれは車両価格にも反映されていて、あらためてカローラの立ち位置の変化にも気付かされる。
 
ちなみに今回の試乗車である「カローラツーリングHYBRID S(2WD)」の車両本体価格は265.1万円(税別/オプション除く)。この価格を高いと感じるか、安いと感じるかは人それぞれだが、少なくともその完成度と経済性は、多くのドライバーを納得させるに足る“出来の良さ”だと言えるだろう。
(文:内藤知己/写真:佐久間清人)
 

 

ハイブリッドモデルには、最高出力72kW(98PS)/5,200rpm、最大トルク142Nm(14.5kgm)/3,600rpmを発生する1,797cc、直4-DOHCガソリンエンジン+電気モーター(最高出力53kW/最大トルク163Nm)のパワーユニットを搭載。

 

 

写真上:オプションでオプティトロンメーターを装着。
写真下:視認性に優れ、操作性が考慮されたデザインのインパネ。

 

スマホ連携のSDLに対応した9インチディスプレイを備えるオーディオ(オプション)。

 

 

 

 

 

スマホ用の「おくだけ充電」装置をオプションで用意。

 

 

 

 

 

 

ハイブリッド車のトランスミッションには
電気式無段変速機を採用。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Sグレードには上級ファブリックシートを標準装備。

 

60:40分割可倒式(ワンタッチ格納)のリアシート。
②は右後部シートを、③は後部シートすべてを倒した状態。

 

オプションのアクセサリーコンセントはAC100V/1500W仕様(左)。ラゲッジルームの床板下には工具類を収納(右) 。

 

3灯式LEDヘッドランプ+LEDターンランプ+LEDクリアランスランプを採用。

 

 

 

 

 

Sグレードの標準タイヤは205/55R16。
下級グレードG-Xの標準サイズは195/65R15だ。

 

CAROLLA公式サイト

https://toyota.jp/corolla/