イマドキジープ流、タイヤ選び指南
2012.12.26
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タイヤ
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Jeep
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ふっと、ドライブへと出掛けたくなる
グランドチェロキー×ジオランダーH/T-S
ジープのフラッグシップモデルであるグランドチェロキーは、前後ともに独立懸架式サスペンションを採用し、さらに軽快感と環境性能を謳える新世代V6エン ジンを搭載したことで、ラグジュアリィに通じる快適性をさらに飛躍させている。そんなグランドチェロキーの乗り味をブラッシュアップしてくれるのが、ジオ ランダーH/T-Sだ。
いくらグランドチェロキーがイマドキのSUVテイストを手に入れたといっても、やはりジープたる剛健さは残っている。ところが、ジオランダーH/T-Sに履き替えると、その荒々しさは陰を潜め、グランドチェロキーの素性である品が明確になる。
走り出してすぐに気付くのは、ジオランダーH/T-Sの静粛性だ。それだけでも、乗員の快適性は大きく高められることにオドロキを覚えるが、ドライバーは 続いて接地感が高められたことに気付くはず。それは、転がり抵抗が低いことを感じつつも、同時に路面の状況がつぶさにつたわってくるという不思議なフィー リングで、まさに質感を高められたという印象が強い。
タイヤの剛性感は意図的に高くされている印象を受けるが、それが不快感を与えるようなゴツゴツとした固さになっていないところがいい。むしろ、それが高速 走行時における直進性を高めており、不安定さを感じることはなく、さらに先に触れた接地感の高さも相まって、快適さを強く感じるほど。そして、コーナーで はトレッド面でのグリップ感を伝えながらも、ロールによって移った荷重を剛性感の高いタイヤが支えてくれるというフィーリングがある。それはまさに頼もし さとも呼べるものだし、しなやかさと剛性感のバランスがとてもいいとも言える。乗り心地でも、現行型グランドチェロキーの質感あふれるサスをさらに細やか にストロークさせてくれているかのような印象にあふれ、結果として、快適性がアップしていることを誰しも感じ取れる。
このタイヤの真価はそれだけに止まらない。たとえ、ウェットであってもその印象は変わらなかったことをお伝えしておきたい。特に、高速道路走行では、たと え水はけが悪い路面であっても、ドライと変わらぬ接地感を強く感じ、それがダイレクトに安心感へとつながっていた。また、いざオフロードへ足を踏み入れて も、想像以上の走破性を披露してくれる。もちろん、ハードなマッドセクションではM/T+のようにはいかないが、ロックセクションにおけるグリップ感はと ても高く、果敢にアタックしたくなるほど。言うまでもなく、ダートランでのコントール性も秀逸だ。オフロードを走らせると、このH/T-Sもまさにジオラ ンダーの一員であることを強く感じさせる。
だから、ついついロングドライブへと出掛けたくなってしまう。ジオランダーH/T-Sはそんなタイヤだ。
日常は充実し、非日常へと脱出したくなる
パトリオット×ジオランダーSUV
ジープラインナップの中ではエントリーポジションとなるパトリオット。兄貴分のジープたちとは異なり、乗用車のプラットフォームをべースにしたモデルゆえ にオフロード走破性を高々とは謳っていない。しかし、SUVたるポテンシャル、ジープ流の乗り味は色濃く表現したモデルであり、その乗り味を語る際にポイ ントとなるのはSUVらしさをいかに大事にできるかにある。そもそもパトリオットは、SUVたるサスペンションのストローク感を生かすことで、豊かな乗り 心地と、まじめなハンドリングをハイバランスさせている。そんなテイストにぴったりなのが、ここで紹介するジオランダーSUVだ。
走り出すと随分とアタリが柔らかいなと感じるが、それは剛性感が不足したような柔さではなく、どちらかといえば、トレッド面のしなやかさと表現したくなる もの。そして、続いて路面にしっかりとタイヤを接地させ、その様子をつぶさにステアリングフィールへと伝えてくるという接地性に感心する。これらはジオラ ンダーシリーズに共通しているポイントでもある。
SUVのハンドリングと訊くと、だるさや曖昧さを想像し、それをマイナスと捉えている人もいるかもしれない。しかし、それらは、ゆったりとしたSUVらし さのひとつとして仕立てられたものであり決してマイナスではない。つまり、シャシー、タイヤがバランスしてSUVたるキャラクターを作り上げており、タイ ヤだけ極端にグリップを上げてしまうと、バランスを崩してしまうことがあるほど。その点、SUV専門ブランドであるジオランダーは、そういったSUVの性 格を熟知し、それに見合ったタイヤをリリースしている。
実際、ジオランダーSUVをはいても、ハンドリングにクイック感は強調されておらず、ステアリングを切った分だけ、ノーズがインを向く。まさにハンドリン グにおける質感のみが高められているといった印象がある。コーナーでのグリップ感も良好だ。そのフィーリングはトレッド面でがっちりと路面を捉えて離さな いというよりは、路面にあたかも吸い付くかのようなしなやかさであり、ドライバーはもちろん、乗員も快適性を感じ取れるものであり、適度なグリップ感と呼 ぶにふさわしいものだ。
高速道路では、最初に述べた接地感がさらに明確になり、パトリオットのアドバンテージであるサスペンションのしなやかさがさらに助長されたような印象を受ける。そして、路面のアンジュレーションすら快適に感じてしまう。直進性ももちろん優秀だ。
ウェット路面での安心感が変わらなかったこともポイント。ワインディングにおいて雨が降った際でもグリップに不安を感じることはなかったし、実際にグリップを失うようなシーンもなかった。
ジオランダーSUVはパトリオットの狙った乗り味を崩すことなく、質感を高めてくれる。いや、そのクラス感すら引き上げてくれている。