パーツ最前線:ベロフジャパン

2015.3.6

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自動車用バルブのエキスパートに聞いた
大人気LEDバルブのウソ? ホント?

最近のカスタムトレンドのひとつが灯火類のLED化だ。ルームランプやポジションランプなど手軽に交換できるものから、フォグランプやヘッドランプに至るまで多彩な商品が出回り、これまでの白熱電球やハロゲンバルブに比べて高輝度でクリア感の高い光を楽しめるようになっている。

 

ただ、こうしたLEDバルブは実に様々な製品が出回っており価格もピンキリ。中には寿命が大変短かったり、輝度が安定しないような怪しい製品もあるようだ。また、電力消費量や発熱量が大変少ないとか、すごく長寿命というイメージがあるが、本当のところはどうなのだろうか? そこで、BELLOFブランドでお馴染み、自動車用バルブのトップメーカーであるベロフジャパン企画開発部の奈良創さんに、LEDバルブに関する基本知識と失敗しないLEDバルブの選び方を伺った。

 

4×4:最近LEDを使った製品が大変人気のようです。たくさんの製品が出回っており、ネットなどではかなり安いものも見かけますが…。

 

奈良:あまりに安い製品は、やはり輝度、発光色にもバラつきがある場合が多いですね。放熱性や耐久性などを考慮して設計されてないものもあります。汎用を謳っている製品もありますが、電圧変動の高いハイブリッド車や車載コンピューターで高度に管理されている最近の輸入車などでは、ちらつきや不意の点滅といった不具合が出ることもあるようです。弊社では、輸入車やハイブリッド車など様々なモデルにも確実に対応できるよう、タイプ別のライナップを拡充させています。

 

また、純正球と同じ型式形状のLEDバルブを装着しても、きれいな配光ができない場合もあります。これは、LEDバルブと白熱球では発光点の位置など構造が異なるので、光の拡散や反射の仕方にも違いが出るからです。例えばバックランプなどはバルブの後方にあるリフレクターの反射を利用して配光しているものも多く、純正球と同じ型式の汎用LEDを入れても後方への照射光が少ないので広範囲を照射できない場合があります。弊社のバックランプ用LEDバルブでは、LEDバルブの先端に反射ミラーを採用して、光を後方に反射させるような工夫した製品もありますが、実績のあるパーツメーカーは、構造や配光にこうした独自のノウハウや技術を投入しているので、どうしてもコストがかかってしまいます。

 

加えて弊社では、こうした設計にかかわる以外の工程、例えば各パーツの吟味や素子グレードの統一化、そして完成品チェックなどをしっかり行うことなどでも、製品に不良やバラつきが出ないようにしています。また、言い換えれば、こうした目に見えない部分にまで手間がかかっている訳です。製品の価格差には、こうしたモノ造りの違いが反映されていることをご理解いただけるとありがたいですね。

 

4×4:家庭用 LED電球が長寿命を大々的にアピールしていますが、自動車LEDバルブも同様なのでしょうか?

 

奈良:展示会などでも、ユーザーの方に「LEDバルブは球切れしないから半永久的に使えるんでしょ?」とよく聞かれます。確かにLED素子自体は長寿命なんですが、やはり放熱性をきちんと考慮しないと、熱ですぐに故障してしまう場合があります。特にヘッドランプ用などの出力の大きなLEDバルブは回路基板部分に結構熱を持つので、ドライバー(制御回路)部の破損やハンダ付け部分の熱膨張などのトラブルが起きる可能性が高まります。ノーブランド品などの中には、すぐに球切れしてしまうような粗悪品もあるようですね。また、いくら長寿命だといっても、長期使用や灯具環境、仕様箇所に起因する劣化や不具合の発生はどうしても避けられません。

 

4×4:LEDバルブは発熱量が少なく、省電力でエコな製品だというイメージもあります。特にハイブリッド車とかEVに乗っているようなエコに意識の高いユーザーは、気にしているように感じます。

 

奈良:確かに白熱球やハロゲンバルブのようにフィラメントから高熱を発するようなことはありませんが、先ほども言いましたように基板部分などはかなり熱を持つので、しっかりした冷却対策が必要です。放熱フィンや冷却ファンを搭載して、しっかり熱対策を行っている製品の方が安心です。

 

消費電力ですが、LED素子単体だと消費電力はとても少なくて済みます。ただし、より高輝度にするため、ドライバーやインバーター、抵抗などを組み合わせることになるので、皆さんが思っているほど劇的に消費電力が少なくなっている訳ではないんですよ。

 

4×4:なるほど、自動車用LEDバルブは、家庭用とはだいぶ違うと考えてよさそうですね。では、HIDやハロゲン球に対するデメリットはありますか?

 

奈良:ヘッドランプやフォグランプなどに使用する場合は、前方への熱の放射が少ないので、冬季の着雪防止などをしっかり考慮する必要があります。また、バルブ単体で交換できるタイプならいいのですが、ウィンカーランプやリアコンビネーションランプなどアッセンブリーで交換するような製品は、LEDバルブがひとつだけ点灯しなくなってしまったような場合でも、丸ごと交換しなくてはならない可能性があります。あるミニバンは、バルブ交換や修理のことを考えて、あえて純正リアコンビネーションランプにLEDタイプを採用していないと聞いたことがあります。

 

LED製品は、素子自体の進化がすごく早いこともあって、より小さく、明るくなって、続々と性能が良いものが登場しています。そうした新しい製品には、当然メーカーの新たな技術やノウハウも反映されていますのでオススメですね。弊社でも、車種や用途に最適化した、より便利で安全に使える高品質製品をリリースしていきますのでご期待下さい。

 

いいことずくめのように感じるLED製品だが、今回のインタビューでは、消費電力や寿命など、ちょっと意外な事実を知ることができた。また、パッと見では分からないが、構造や回路などにもメーカーによって様々な工夫が凝らされていることも分かった。灯火類は安全に大きくかかわってくるパーツだ。値段ばかりにこだわらないで、やはり確かな製品を見極めることがLED製品選びの基本となるようだ。

 

IMG_7830バックランプ用バルブのひとつ。先端に反射鏡が付いており、照射光を後方のリフレクター部に反射する。

 IMG_7833ポジションランプやルームランプなどに使えるT10型の汎用LEDランプ。黄色いLED素子に、黒い制御部品が組み合わされているのが分かる。高出力製品では、この部分の熱対策が重要になるという。

IMG_7863輸入車用LEDバルブ。高熱を発するキャンセラー部分をバルブと別体化して専用ソケットハーネスに設置。

信頼性の向上とワンタッチ装着を実現したスグレモノだ。

 

【新製品情報】

SPEC LEMANS GT 1

バラスト・バルブなどがワンパッケージになった、「Spec LE MANS GT アルティメットフルキット 6000K」。
ノーマルHID(同社スタンダードパワーユニット)比150%の明るさを誇る。

 

※バルブタイプ
H1、H3C、H4、H7、HB3/4、H9/11、HL4MV、D-Multi

 

ベロフジャパン株式会社HP
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