モトレージ40年の軌跡 〜ジムニー前編

2022.12.21

    • カスタムカー
    • スズキ


「進化を続けるジムニーに挑む!」
モトレージ40年のモノ創り

モトレージが、今年、創業40周年を迎えた。
その歴史は、さまざまな四駆とともに過ごしてきた歳月でもある。
走破性の向上を図り開発された、オリジナルパーツの数々
時には、永く乗ってもらうがためだけにパーツを創り
時には、体制と戦い、四駆ユーザーの盾となったり…。
四駆とともに歴史を積み重ねてきたモトレージ40年の軌跡を綴る
その第一弾は「ジムニー」だ。

 

「四駆を永く乗ってもらうことが、モトレージの使命です」

モトレージが産声を上げたのは1982年のこと。つねに四駆と向き合い、いつも気の置けない仲間たちに囲まれ…。四駆ショップとして、四駆パーツサプライヤーとして、モトレージの立ち位置は、創業以来そして今なお一貫する。
 
そんな同社が手掛けてきた四駆やパーツの多くは、ランクルをはじめFJクルーザーやハイラックス、Jeep、サファリ、レンジローバー、ディフェンダー…と、大型・重量級の四駆を思い起こす読者諸兄も多いのではないだろうか。約20年、モトレージの担当者として足繁く通わせて頂いている私もまた、そんなイメージを抱いていたひとりだった。
 
しかし、モトレージとジムニーの関わりは、思いのほか長い。
 
「モトレージとジムニーの最初の出会いは、トライアル競技に出場するため、SJ10をサニーA12型エンジンに換装し、ボディーリフトを行ったこの時だったんです」と岡本代表は当時を振り返る。SJ30が新車だった時代(1981年〜1984年)というのだから、おおよそ、モトレージ創業当初からということになる。そして、「以来、モトレージには常時数台のジムニーをそばに置いていました」という。このことは、今回の取材を通して初めて耳にすることだった。
 
ジムニーもJA11の時代に入ると、JA11用「TERRAリーフスプリング」をリリースするが、ランクル80が全盛だった時代もあって、モトレージのパーツ開発に費やす時間の多くは、ランクル等に譲らざるを得なかった…。
 
そして取材当日。エンジンオーバーホールを行い、キレイにレストアされたJA11とJA22が走り回っている姿を前に、岡本代表は驚くべきことを口にした。
 
「新車の販売台数が少なかったため、開発の機会にも恵まれることのなかったJA22を、つい最近、手に入れることが出来たんです。脚まわりだけでも製品化しようと思い、JA12・22用の『TERRA 2インチアップコイルスプリング』を先日、製品化しました。そして、JA11用の『TERRAリーフスプリング』も、近々再販することを決定したんです」。
 
旧車の域に入ろうとしている車種に対し、今、サスペンションをリリースする(予定する)岡本代表の真意はどこにあるのか!?
 
4〜5年前に、ランクル70系用ノーマル高リーフスプリーングの製品化を取材したときのこと。「リーフがヘタッてしまっても、もうメーカーからパーツを手に入れることは難しくなっているんです。それならば、ノーマルに近い乗り味と車高のリーフスプリングを製品化すればいい」と、世に送り出してしまった。「“四駆を永く乗ってもらうこと、つねに相棒であり続けること、これが私たちのの使命” と思っています」と、淡々とした風情で岡本代表は語った。
 
これが、四駆と40年をともにしてきたモトレージの神髄なのだ!

 

「ジムニーJB23で、野山を駆りませんか!」

時代が21世紀へ入ろうとする頃、ジムニーは一足先にJB23の時代(1998年〜2018年)を迎えた。ボディーも拡大し、クルマとしての進化も遂げたJB23を前に、モトレージのパーツ開発は、次第に熱を帯びてくる。
 
ノーマル車高から3.5インチアップまで、計6種類をラインナップするTERRAコイルサスペンションを筆頭に、同社オリジナルビルシュタインダンパーやブレーキパッド&ディスクローターを、そして時代はくだり、高出力のオルタネーターをリリース。同社のホームページを訪れると、その充実ぶりに、ようやく “モノ創りのモトレージ” が顔をのぞかせるようになってきた。
 
さらに、クルマ造りにおいても、エアロッカーやノンスリップデフの装着を積極的に行い、ジムニーで走ることの楽しさを、多くのオーナーたちへ伝えようとした時期でもあった。
 
そんなモトーレージだったが、ジムニーJB64のパーツ開発(後編にて)に比べると、エクステリア系パーツが圧倒的に少ないことに気付かされる。同社が開発した外装系パーツは「フロントスポーツグリル」しかなかったのだ。
 
四駆アフターマーケットの主役の一車種として、ようやく檜舞台へ上がろうとしていたJB23を前に、大型四駆に軸足を置いていたモトレージは、あえて一歩引いたスタンスを取っていたのではないか。このことは、JB64の時代のモトレージを知る私の、推測の域を出ないのだが…。

 

Jimny JA11・22

当時を偲ばせるジムニーJA11

アウターロールケージが装着されたホワイトカラーのジムニーは、発売された当時の姿を残している。取材当日、カスタムが施されたJA11やJA22とともに野山を駆け回った。「四駆に永く乗って頂くことこそ、モトレージの使命」と謳う岡本代表の言葉を、まさに具現化した一台だ。
◆タイヤ:ジオランダーM/T+ 175/80R16

 

再販を予定するサスを装着した快適仕様

綺麗なグレーにオールペンされたJA11。エンジンはオーバーホールが行われ、前後エアロッカーやロールバーを装着する等、オフロードの戦闘力アップも図られた、まさにオールマイティーな一台に仕上がっている。
◆タイヤ:ジオランダーM/T 6.50R16

 

TERRAリーフスプリング:再販予定

車高が約2インチアップするオリジナルリーフスプリング。本来50mm幅(純正)であるリーフを45mm幅とし、さらに一枚を5mm厚と薄く設定したリーフを多板化することで、脚の動きを確保した。各社から販売されていたリーフも生産中止が増えてきたことを憂い、近々再販を予定している。
 

25年以上が経過するJA12・22に新製品!

ボディーカラーがベージュにオールペンされたJA22。こちらもまた、エンジンのオーバーホールが行われた。もともと販売台数が少ないクルマだっただけに、ステアリングを握る機会の少ない車種だったが、そんな希少車に触れるという貴重な機会を頂いた。
◆タイヤ:FALKENワイルドピークM/T 185/85R16

 

JA12・22用「TERRAサスペンション」をリリース

●写真 左:新製品としてラインナップに加わることとなったTERRAサスペンションJA12・22用は、車高アップ量が約2インチ。
●写真 右:TERRAブランドからリリースされている「ディスクブレーキパッド」と「スーパーディスクブレーキローター」。

 

Jimny JB23・43

3インチアップしたJB23 1型

ジムニーも車幅が拡大し、快適性と動く脚を持ったJB23の時代が到来。ちなみにこのジムニーは、1998年に発売されたJB23(1型)だ。脚まわりは「TERRAコイルスプリング(3インチアップ)」を、さらに前後にエアロッカーを装着することで、大幅に戦闘力をアップさせている。
◆タイヤ:ジオランダーM/T G003 6.50R16LT

 

TERRAサスペンションキット

約3インチアップするTERRAコイルスプリングをはじめ、ビルシュタイン46スーパーロングダンパー、フロント用キャスタードリーム、ロングブレーキホース等のセット。オフローディングに必要な、ロングストロークをしっかりと確保した設定となっている。

 

これぞ、カスタマイズド・ジムニーJB23(3型)

JB23がジムニー業界の主役だった時代。JB23のフォルムは、ノーマルではなく、まさに写真のような車高を2〜3インチアップさせ大径タイヤを履き…だった。フロントにはエアロッカーを、リアにはLSDを装着し、エンジンはオーバーホールされている。「フロントスポーツグリル」は、同社オリジナル。
◆タイヤ:BFグッドリッチ T/A KO2 LT225/75R16
◆ホイール:MKW MK55-J

 

TERRAサスペンションキット 3インチUPソフトコイル仕様

オフロード走行に加え、オンロードでの乗り心地も重視したい方へおススメ。TERRAソフトコイル(約3インチUP)と同社スペシャルビルシュタイン46スーパーロングダンパー、前後ラテラルロッド、フロント用キャスタードリームII 他のセット。


 

モトレージのパーツを纏ったJB23 8型

20年続いたJB23も佳境に入ると、モトレージからも多くのパーツがリリースされるようになった。ジムニー界に、同社の存在を高らかに主張するかのような仕上がりだ。前後エアロッカーを装着し、ウィンチを搭載する。
◆タイヤ:TOYO TIRESオープンカントリーM/T LT225/75R16

 

TERRA SUPER HOTコイルサスペンションキット

オンロードそしてダートでの走破性を考慮したサスペンションキット。車高約3.5インチUPのTERRAスーパーHOTコイルと同社スペシャルビルシュタイン46スーパーロングダンパー他、前後ラテラルロッドやフロント用キャスタードリームII、ロングブレーキホース、ABSコード延長プレート等のセット。


 

制動力の確保と電力の安定供給

●写真 左:ノーマルサイズのTERRAスーパーディスクブレーキローターは、8本スリット入りで放熱効果がアップ。ブルーペイント仕上げ。そして、低ダストで長寿命、低温からコントロール性が高いことを重視したTERRAディスクブレーキパッドとの組み合わせで、重量が増したJB23の制動力を確保した。
●写真 右:ウィンチ装着車やナイトクロカンが想定されるオーナーへおススメしたい「高出力オルタネータ」は、同社のオリジナル。80A(標準60A)の高出力を誇る。必要とする電力が素早く安定供給され、エンジンレスポンスや燃費アップ、さらにはオーディオの音質向上等の効果がある。JB23 5〜10型用。

 

ウィンチを搭載するJB23

●写真 左:開口部を大きくすることで、ラジエターへ新鮮なエアーを大量に送り込むことを可能にした「フロントスポーツグリル」。
FRP製ゲルコート仕上げ
、JB23 4型以降車用。
●写真 右:ナンバープレートの奥には、WARN製のウィンチが。ジムニーの走破性をより確かなものとするための意気込みが伝わってくる。

 

車高がちょっぴり上がったJB43

長く続いたJB23もフルモデルチェンジを迎えようとしていた頃、ジムニー業界では一時期、JB43のカスタムに話題が集まることがあった。声の主は数社だったと記憶するが、今なお走るJB43をデモカーとして残しているところが、いかにもモトレージらしい。「TERRA HOTコイルスプリングタイプ1(20mmアップ)」を装着する。
◆タイヤ:ミシュラン クロスクライメイトSUV 215/70R16

 

普段履き仕様の脚まわりとシュノーケル

●写真 左:TJM製エアインテークシュノーケル。JB43(2006年3月〜2012年7月車)用。
●写真 右:普段使用からダートまでを守備範囲とする「TERRA HOTコイルスプリング(20mmアップ)」と、同社「スペシャルビルシュタイン46ダンパー」の組み合わせ。JB23/33/43用。

 

JB23/33/43に向け、6種類のサスペンションをラインナップ

・TERRA HOTコイルスプリング タイプ2(ノーマル高)
・TERRA HOTコイルスプリング タイプ1(20mmアップ)
・TERRAコイルスプリング セミハード(2.5インチアップ)
・TERRAコイルスプリング ソフト(3インチアップ)
・TERRA SUPER HOTコイルスプリング(3インチアップ)
・TERRA SUPER HOTコイルスプリング(3.5インチアップ)
 
後編へ続く…