モトレージ40年の軌跡 〜ジープ編

2023.10.15

    • カスタムカー
    • 三菱

Jeepが全ての始まりだった

「四駆と寝食をともにする」
この言葉こそ、モトレージ岡本代表の人生を語るフレーズに相応しい。
ジムニーがいつも傍らにあった車種ならば、
ディフェンダーが放つ強烈な個性は、岡本代表を四駆の世界奥深くへ引き込み、
そしてランドクルーザーとともに体制と戦い…。
モトレージの軌跡を辿るこの企画、今回は
岡本氏にとって人生初の四輪駆動車となった「Jeep」を綴る

ユーザー本位のパーツ開発

神戸の四駆専門店「モトレージ」といえば、地元はもちろん、全国のベテラン四駆車オーナーたちにも広く知られる、昨年創業40周年を迎えた老舗中の老舗である。
 
一般に、このような老舗カーショップといえば、特定の車種に特化したカスタマイズやチューニングを得意としているマニアックな店であることが多いが、モトレージはちょっと違う。
 
もちろん、マニアックという面では、筋金入りのマニアック店ではあるが、代表である岡本さんのメガネにかなった4×4なら、タイプや型の新旧にかかわらず、「その4×4を楽しむためのお膳立ては任せなさい!」…そんなお店だ。
 
たとえば、サスペンション開発。見た目のカッコ良さだけではなく、その車種が持つ本来のポテンシャルを100%発揮させるための脚作りが行われる。車種によっては、ストリート、ダート、クロカン…等、ユーザーの使い方に合わせた選択肢を細かく用意する例も少なくない。
 
こういったユーザー本位の姿勢は、オリジナルパーツ開発だけにとどまらない。岡本さんの厳しい目で「優れたパーツ/ユーザーが必要としているパーツ」と判断された商品は、たとえ他社製品であっても積極的に取り扱われる。
 
時には、たとえそれが売れる保証のないモノであっても「今仕入れておかないと手に入らなくなる」と判断した絶版パーツを大量に在庫してしまうことも…。「商売人としては絶対やったらアカンやつですわ」と岡本さんは笑うが、こんなユーザー本位志向が、多くのモトレージ・ファンを惹きつけてやまない。もちろん誰もが認める“マニアック店”ではあるけれど、マニアだけが集まる店ではないのである。
 

人生初のジープとの出会い

さて、そんなモトレージだが、40年前の創業当初は「岡本オートサービス」というごく普通の自動車販売と修理を行う会社だった。日々の業務で故障車をけん引する機会が増え、そのために導入した三菱ジープJ58(2Lガソリン幌車)が、岡本さんにとって人生初の4×4となる。
 
学生時代からラリーに夢中になり、オフロード(ダート)走行が得意だった岡本さんが、いわゆる“四駆病”に侵されるのにたいして時間はかからなかった。
 
こうして、故障車けん引のためのジープがきっかけとなり、岡本さんの生活は公私共々四駆一色に染まっていくことになる。そして、ほどなく「岡本オートサービス」は四駆専門店「モトレージ」に。
 
そんなわけで、岡本さんには「ジープは原点」という強い思いがあるという。古くからの顧客やベテラン四駆乗りたちにとっては、岡本さんが元キャメル・トロフィー日本代表選手という経歴から、オフィシャル車だったランドローバーのメカに詳しい店…というイメージが強いかも知れないが、原点はジープなのだ。
 

日常の足としては最悪なジープ

これまでありとあらゆる4×4を手がけてきた岡本さんをして「ジープが原点」と言わしめるその要因は、何も「最初に出会ったから」という理由だけではない。
 
ジープに惚れ込み、趣味のオフロード走行はもちろんのこと、日常の足として、そしてファミリーカーとしてジープを使うようになっていた岡本さんは真剣に考えた。
 
「こんなに優れたオフロード走破性能を持っているのに、日常の足としては最悪や…何とかならんモノか」
 
つまり、乗り心地が悪い、荷物も人も乗せにくい、遅いしブレーキも効かない、ハンドル重い、エアコンも無い、オープン走行は気持ちいいけど幌の脱着が面倒…。
 
結果として、これらの不便&不快要素を解決あるいは緩和するためと、走破性をさらに向上させるためのアイデア探しや開発がモトレージの出発点となり課題となったのである。足りないモノはアフターマーケットが担当する!…の精神である。
 
モトレージのパーツ開発は、現在でもコレが基本だ。より快適に、より走る一台を目指して、今日も岡本さんの頭の中は4×4で一杯なのである。
 

ジープが繋いでくれた良き仲間たちと

この日、和洋とり混ぜ9台のジープが岡本さんの秘密基地に集結した。ベテランから若手まで、岡本さんの大切な顧客であり、仲間であり、良き友人たち。さまざまな世代が集まったモトレージ・ファンだ。
 
「ジープ乗りだった親父の影響でね…」「浮世のしがらみで一度はジープを降りたけど、やっぱり忘れられず…」「80過ぎたけどまだまだ現役やで…」等、ジープに乗ってる理由はさまざまだが、その楽しさや魅力を共有してる感が全てのメンバーから発せられていて、何だかとても素敵だ。
 
残念ながら、岡本さんが今も所有する“原点となったJ58”と、ファミリーカーの2代目として活躍したJ37(4ドアロング、ガソリン)は整備が間に合わず欠席となったが、次の機会にはきっとご紹介できるだろう。
(文章:内藤知己/写真:佐久間清人、内藤知己)

 

この日の最高齢ジーパーはなんと80歳! 炎天下をモノともせずオープンで登場。先輩、ついて行きます!

 

 

 

 

岡本さんの秘密基地に集結したジープ軍団。前列は三菱ジープで後列はUS.JEEP。
 

秘密基地のピット&ガレージ。
裏手にはキャンプも可能なオフロードエリアが拡がる。
 

モトレージ公式サイト

https://www.moto-rage.co.jp/