【BACKWOODS】 宮島秀樹

2015.3.27

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今あらためて意識したい四駆乗りのマナー

先日、鳥取砂丘に四駆が侵入したことが大変非難を浴びている。新聞やニュースでも大きく採り上げられたので、ご存じの方も多いだろう。乗り入れたのはいずれ も20歳前後の若者だという。年齢から察するに、皆四駆ビギナーだと思われる。ニュース映像では、入り込んだ四駆としてジムニーが映されていたが、それほ ど大きな改造が施されていない車両のようで、およそオフロード向けでないタイヤを履いている上、しっかりスタック劇まで演じてしまっていることから、この 推測は間違っていないだろう。つまり、四駆とオフローディングについてあまり知らない初心者が、後先考えず砂丘に入り込んだという訳だ。

 

こうした「傍若無人な四駆」、「環境破壊する四駆」といった報道は、1990年代の爆発的な四駆ブーム以降たびたび行われてきた。その都度、大多数を占める 善良な四駆ユーザーが肩身の狭い思いをすると共に、林道や河原への乗り入れ規制などが強化され、ツーリングやアウトドアライフを楽しめる場所を失ってきた という経緯がある。今回の「事件」も、やはり四駆乗りに対するイメージを悪くしてしまったことは否めない。

 

もっとも、四駆の知識や四駆乗りのモラル&マナーをきちんと知らない新たなユーザーが増えてくると、こうした問題が起きやすくなるのは、どうしても仕方 がないだろう…とも思う。今回の件も、当人たちは「立ち入り禁止とは知らなかった」と言っているようだ。「いい大人が知らなかったでは済まされない」 「常識で判断できるでしょう」とはよく言われる。もちろんそのとおりだが、だからといって、では彼らがオフローディングのマナーや国立公園法の車馬等乗り 入れ規制制度を「どこかでしっかり教えられる」ような機会はあったのだろうか。路上喫煙だって、つい十年くらい前までは当たり前のようにやっていたことで あったし、喫煙者がマナー違反として意識するようになったのも、自治体やタバコメーカーが大々的に啓蒙運動を行ったからだ。かように、マナーやモラルにつ いては、環境や習慣などに拠るところも大きく、ゼロから自発的に意識することは意外に難しいものだと思う。

 

4x4MAGAZINE は1977年の創刊以来、一貫して自然保護の大切さとオフロードでのマナー遵守を訴え続けており、こうした問題が起こるたびに目を背けることなくしっかり 採り上げ、四駆ユーザーの意識向上を図ってきた。ただ、最近はこうした話題をあまり採り上げていなかったのも事実。オフロード4×4の昨年の販売台数は、 新車だけで374,220台(軽自動車を除く)に上り、前年比164.5%という(いずれも自販連統計)。その内、初めて4×4に乗るユーザーもかなりい るはずだ。そういった新たなユーザーのためにも、今後は機会があるごとに、こうしたマナーやモラルについても触れてきたい。大柄な4×4はただでさえ目立 つ存在であり、クルマの性格上ユーザーもワイルドなキャラクターに思われがちだ。四駆ユーザーだからこそ、紳士淑女であって欲しいと思う。

 

最後に、4×4で走りに出かける際、意識しておきたい事柄をいくつか挙げておこう。

 

1. 国立公園や国定公園では、希少な動植物や景観保護のため、オフロード車等の乗り入れが規制されている場合がほとんど。林道の通行も規制されている場合が多い。「車馬等乗入れ規制制度」

 

2. 一般車が通行できる林道や河原では、一般車や人に不快感を与えないように心がける。登山ブームもあって、最近林道でハイカーに出会う場合が多いが、その場 合は埃や泥を巻き上げないようにゆっくり走り、できればウインドゥを開けて、「こんにちは」などひと声をかけよう。

 

3. 林道や河原は、「走らせていただいている」という気持ちで。自治体のほか、地元4×4クラブなどの市民団体がボランティアで維持・清掃活動を行っている場合も多く、そうした人たちが存在していることをお忘れなく。

 

4. 道以外は極力走らない。そこが貴重な動植物の生息地かも知れないのだ。タイヤが植物を潰し、つけた轍は小動物にとって巨大な溝となる。

 

5. ゴミは必ず持ち帰る。

 

6. 自然のものはいたずらに持ち帰らない。

 

7. ひどい泥汚れはなるべく早く洗車を。一般道で泥や汚れをまき散らして走らない。愛車保護の意味でも。

 

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写真は「さなげアドベンチャーフィールド」で撮影したもの。思い切りクロカン走行を楽しみたいなら、オフロードコースへ出かけよう。