AXCR制覇を誓う「チーム三菱ラリーアート」
2024.7.14
-
-
ラリー
-
三菱
-
三菱トライトンが、「’24 AXCR(アジアンラリー)」王座奪還へ!
三菱自動車が技術支援する「チーム三菱ラリーアート」が、
2022・2023年に続き、アジアクロスカントリーラリー(AXCR)に参戦する!
マシンは昨年に続き「新型トライトン」
2024年大会の今回は4台の体制で、初出場・初優勝を遂げた一昨年以来の王座を狙う
苛酷なモータースポーツの経験を
未来のクルマづくりに継承する
一昨年、2022年の「アジアクロスカントリーラリー(AXCR)」は、オフロードシーンだけでなく、一般のモータースポーツファンにとっても印象に残る大会となった。
かつてモータースポーツシーンを席巻した、あの三菱“ラリーアート”が本格的な活動を再開。しかもAXCR初出場にして、いきなり総合優勝を遂げるという離れ業をやってのけ、“さすがパリ・ダカの三菱!”、“オフロードの強さは別格!”などなどの声を集めることとなったのだ。
そんな「チーム三菱ラリーアート」が今年もAXCRに、3度目の参戦をすることが発表された。出場マシンはもちろん、昨年に引き続き「新型トライトン」。一昨年は先代トライトンで優勝を得たものの、新型トライトンに切り替えた昨年は、トライトンの悪路での優れた操縦性と走破性、高い耐久性はいかんなく発揮されたものの、優勝を逃す結果に(総合3位入賞)。そこで今回は4台体制をとりながら、マシンのポテンシャルを大幅に強化。目指すのは2年ぶりの総合優勝、そしてトライトンの上位独占だ。
「もちろんラリーに勝利することは大切ですが、我々が参戦する目的の第一は、ここで得られた経験やノウハウを市販車に生かすこと、そして、クルマ作りや販売に関わる人を育てていくことです。トライトンの、日本を含めたASEANでの知名度向上や、耐久性・信頼性・走行性能のアピールにつながるよう、そして最終的にはユーザー様の安心や安全、快適さにつながればと思っています」。一昨年、昨年に続き「チーム三菱ラリーアート」の総監督をつとめる増岡浩(写真:上段左)さんは語る。
さあ、本番は今年8月11〜17日(現地時間)。4台のトライトンの奮闘を、大いに期待したい!
新型トライトン’24マシンは、戦闘力を大幅にアップして参戦
第29回を迎えるAXCR 2024。チーム三菱ラリーアートは、T1クラス(改造クロスカントリー車)にエントリーする。出場マシンは’23年にグローバル発表された「トライトン(タイ仕様)」をベースに、苛酷な走行環境に対応するためロールケージやアンダーガード、シュノーケルなどを装着。またフレームの補強を施しながら、フロントフェンダーや前後ドア、荷箱などにカーボン素材を採用するなど、大幅な軽量化を行っている。
エンジンは2439cc/4N16型インタークーラー付きターボディーゼル。日本仕様は2ステージ・ツインターボとなるが、こちらはシングルターボで、タービン自体もスペシャルのもの。最高出力(150kW以上)・最大トルク(470N・m以上)とも大幅に強化されている。トランスミッションは日本仕様には設定のない6速MTだが、昨年はノーマルのまま出場、今回はラリースペックのシーケンシャル式で、より走りのパフォーマンスアップを図っている。4WDはフルタイム式、前後デフにはCUSCOの機械式LSDを組み込んでいる。
そして、昨年より一新されたのがサスペンションだ。とくにリアについてはリーフ・リジッド式から4リンク式に変更、さらにコイルオーバー式ダンパー(CUSCO製)を、荷台を貫くようにレイアウトしているのだ。昨年のリーフサスは、はっきり言ってラリーマシンとしてはムリがあるところ……。今年は荒れた路面への追従性やストロークアップにより操縦性を向上させた他、ドライバーやコ・ドライバーへの負担もかなり軽減されるはずだ。またトレッドを前後とも90mm拡幅しているが、これもコーナリングの操縦性や安定性の向上に大きく貢献しているという。
タイヤ&ホイールはヨコハマ・ジオランダーM/T G003と、ワークCRAG T-GRABIC IIのコンビ。タイヤサイズは昨年、235サイズ(純正は265)を採用していたが、今回はワイドトレッドもあり、245/75R17という少し太めのサイズを採用している。
(文:高坂義信/写真:水島 仁、三菱自動車)
出場ドライバー/コ・ドライバー
1号車
●ドライバー:チャヤポン・ヨーター(36)
タイ出身。タイ国内のラリーやレースで活躍中。AXCR2022ではチーム三菱ラリーアートを初出場・初優勝に導く。昨年は総合3位入賞。
●コ・ドライバー:ピーラポン・ソムバットウォン(タイ)
3号車
●ドライバー:サクチャイ・ハーントラクーン(61)
タイ出身。30年以上のラリー経験を持ち、1996年には三菱パジェロでパリ・ダカールにも参戦。
●コ・ドライバー:ジュンポン・ドゥアンティップ(タイ)
2号車
●ドライバー:田口勝彦(52)
’07年ラリージャパン・グループN優勝、FIAアジアパシフィックラリー王者に2回輝くなど、日本の誇るトップドライバー。“ランエボのカリスマ”。
●コ・ドライバー:保井隆宏(43)
’04年からラリー活動開始。’09年からは勝田範彦選手のコ・ドライバーとして全日本ラリーシリーズ2位を獲得。昨年より田口選手とコンビを組み、優勝を狙う。
4号車
●ドライバー:小出一登(45)
三菱自動車社員。社内テストドライバーとしてパジェロやランサーエボリューションなどの車両試験を担当。社内の運転教育インストラクターも努める。今回がラリー初参戦。
●コ・ドライバー:千葉栄二(50)
1995年アメリカ・USホビーズ社にてIMSAポルシェ911のテストドライバーとしてキャリアをスタート。国内外のオフロードレース参戦経験も豊富で、2015〜’17年は篠塚建次郎さんのコ・ドライバーとしてAXCRに参戦。
選手コメント
田口選手(2号車ドライバー)
チームは6月下旬、タイ現地のオフロードで7日間・800kmあまりのマシンテストを実施。
「クルマはもう、昨年とは比べモノにならないくらい良いクルマに仕上がりました! トランスミッションの強化やワイドトレッド化、リアサスペンションの変更は効いていますね。昨年はミスコースや埃に悩まされましたけれど、今年は優勝も十分狙えますよ!」
保井選手(2号車コ・ドライバー)
「田口選手とは今年、2度目のコンビを組みます。昨年はミスコースなど、ボクの責任で成績を落としてしまった部分もあったので……。今年はなんとか、昨年(総合8位)以上の成績を狙いたいです。えっ? 田口選手と喧嘩すること? いやいや、ないですないです(笑)」
小出選手(4号車ドライバー)
「私の乗る4号車は昨年のマシンをリファインしたもので、ポテンシャル的には他の3台にかなわないんですが、クィックサポートとして皆さんをサポートできたらと思います。これまでオフロードも本格的に走ったことはなく、競技ライセンスも持っていなかったんですが、これを機会にもっと三菱のクルマ作りに貢献できたら嬉しいです」
千葉選手(4号車コ・ドライバー))
オフロード経験豊富な千葉選手。昨年のAXCR優勝チームのマシン作りにも関わっていたのだとか……。
「増岡監督との付き合いも古いので呼んでいただけたのかな? こう見えてもオフロードレース経験は豊富なので、小出選手を上手にサポートしていきたいと思っています」
AXCRとは
アジアクロスカントリーラリー(AXCR、アジアンラリー)は、1996年に初開催されたアジア各国を巡る、ASEAN最大規模のFIA公認のクロスカントリーラリー。第29回を迎える2024年は、8月11日(日)にタイ南部・タイランド湾に面するスラタニでのセレモニアルスタートによって開幕し、翌12日(月)から本格的な競技がスタート。コースはタイ国内に設定され、17日(土)にカンチャナブリでゴールを迎える。総走行距離は約2400km、スペシャルステージと呼ばれる競技区間はそのうちの約1000kmで、山岳部、密林地帯、川渡りなど変化に富んだハードなルートを駆け巡る。走破性と耐久性はもちろん、さらに今年はスピードが問われる厳しいステージが予想される。
チーム三菱ラリーアート/AXCR2024スペシャルサイト
https://www.mitsubishi-motors.com/jp/brand/ralliart/axcr/