【ブリヂストン】DUELER M/T674

2013.8.30

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これが、MTタイヤの新機軸!

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ブリヂストンから久しぶりにリリースされたMTタイヤ、デューラーM/T674。 これまでのクロカン車ユーザーにも応えられるポテンシャルを与えながらも、日常での快適性を見失っていない、そんな性能に溢れているという。そのハイバランスさをチェックすることにした。オフロードでのテストフィールドに選んだのは、ハードなコースでお馴染みの富士山麓にあるスタックランドファームオフロードコースだ。

 

 

ブリヂストンの本格4WD/SUV/CUV向け専用ブランドである”デューラー”の中にあって、このM/Tは最もオフロード走破性を期待できるポジションにある。その最新モデルであるデューラーM/T674が、今年4月にデビューした。新パタンの採用によって、オフロードの中でも、特にマッドにおける性能を大きくブラッシュアップさせながら、日常での快適性も引き上げたことをトピックとしている。ちなみに、クルマに限らず、タイヤでもオフ走行で求められる性能と、オン性能で必要とされる要件は相反するもの。しかし、それを高いレベルでバランスさせているというのだから、テスト前からデューラーM/T674への期待はついつい高まっていた。 なお、テスト車両に装着したタイヤサイズは185/85R16 105/103L LT。脚回りをインチアップしたジムニーには、王道をいくタイヤサイズだ。

 

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テストドライブは、まずオンロードからスタート。一般的にブロックパタンのタイヤは、特有の音と振動が感じられるものだが、それが不快感や違和感になっていないことに驚いた。そしてスピードを高めていっても、ロードノイズ、パタンノイズともに気にならなかった。そう、期待以上の快適性に溢れていたのだ

 

さらには、接地感に優れており、路面からのインフォメーションが的確に伝わってくるためハンドリングに楽しさがあった。コーナーにおいては、グリップ力が高いというよりは、グリップ感に好印象を覚えた。というのも、コーナリング中にアクセルを踏み込んでも、スキール音を発してグリップを失わせてアンダーステアへと逃げるようなフィーリングが見当たらず、むしろグリップ感が明確であり、コントロールしやすい。むしろオンロードでのワインディングを楽しむことが出来た。 そう、MTタイヤだからという言い訳はどこにも見当たらない。この点について、 開発者に尋ねると、「接地面圧を均一としたプロファイル、また、ブロックパターンの配置などによって、オンロードでの快適性、そして高い操縦性を得ている」のだという。

 

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オフロードのテストフィールドに選んだ山梨県にあるスタックランドファームオフロードコースは、自然の地形をそのままに生かしたコース。いわゆるロック、マッド、ヒルクライムといった個別シーンはなく、まさに自然そのままの複合コースとなっている。

 

コースは、富士山の火山岩がゴロゴロとしたシーンからスタートする。これも岩が意図的に並べられたのではなく、土が流され、削り取られて岩が現れた、半ばロックセクションだ。ご存知のとおり、ロックに対してタイヤに求められるのは、包み込むように岩を掴むしなやかさと、そこで得たトラクションを失わせないためのタフさだ。このデューラーM/T674は、ブロックを伴いトレッド部が変形し、岩にタイヤを接地させると、しっかりと岩をつかみ取ろうとする。そして、荷重を載せていくと、まさに抱え込むかのようにサイドウォールが適度にたわむ。そこからゆっくりとアクセルを踏み込んでトラクションを伝えていくとグリップを失うことなく、確実に進んでいく。ちなみにその様子はステアリングを通してドライバーにしっかりと伝わってくるため、ただ走破性が高いというだけではなく、そこに安心感があった。

 

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ここまですべて想像以上だったが、さらに、マッド性能も期待以上だった。ここスタックランドファームオフロードコースは、雨が降った途端に、わずかな傾斜も上れなくなるほどの凶悪なマッドシーンへと変貌する。そんなコースで、あえてマッドへと挑んだのだが、これが拍子抜けするほどに簡単にクリアしてしまった。テストフィールドは、フリーホイールハブまで潜るようなマッド。もし仮にノーマルタイヤで途中止まったならば、スタック確実といったシーンだったが、デューラー M/T674ではしっかりと泥を掴んで、そして排土してくれる。そのためグリップ感を失うことはなく、まさに途中で止まろうとも難なく発進し、そしてクリアすることが出来た。積極的に泥を排出しようとする3D主溝、溝の底とブロック壁面の両方から圧を掛けるように泥を押し出すデザインとした3Dラグによる効果は絶大といった印象を受けた。また、あえて轍を登ろうとステアリングを切ったところ、ショルダー部にデザインされた3Dバットレスも手伝って、なんと轍を登ろうとし、高さの低い轍は乗り越えてしまったことをお伝えしておきたい。まさにマッドを縦横無尽に走れる、そんな印象を受けた。

 

開発者曰く、「インドネシアなどで、普段はノーマルタイヤでも問題なく走れる不整地でも、雨が降った途端にノーマルタイヤでは太刀打ちできなくなる、そんなシーンで使えるタイヤを設計した」のだという。まさにマッドで使える、安心感があるタイヤなのだ。

 

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今回のテストで使用したジムニーは、APIOのコンプリートモデルTS7。どちらかといえば、シティユースがターゲットとなっているモデルだ。しかし、そもそも APIOのコンプリートモデルは、どれもがしなやかなシャシーをベースにオフでのポテンシャルを引き上げつつ、オンロードでの楽しさを増してくれているため、まさにデューラーM/T674の狙いとピッタリ。その相性がとても良かったことを、最後にお伝えしておきたい。

 

多くのステージを走り抜いた今回のタイヤテスト。ラリーレイドと言った本格オフロード向けにチューニングが施されたアピオマシンでも、インプレッションを行いたいと思わせる高いポテンシャルを感じた。オフロードでの期待を高め、そして、オンロードでの期待を全く失わせない。ブリヂストンのデューラーM/T674は、まさにそんな表現をしたくなるタイヤだ。

 

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トレッドでロックを掴み、サイドウォールがたわんで岩を包み込む。グリップを失 うことなく前進していく。もちろん、空気圧はジムニーの標準値。

 

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ノーマルタイヤでは止まるとスタックするようなマッド。優れた排土性によってトレッド面がしっかり見えている。マッド性能は高い。

 

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ワインディングでも不安になることはなく。むしろ、剛性感が高くなったという印象から安心してアクセルを踏んでいける。

 

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路面接地圧を均一にしたことで、耐摩耗性はもちろん、耐偏摩耗性もアップし、ロングライフを期待できるという。

 

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路面接地圧を均一にしたことで、耐摩耗性はもちろん、耐偏摩耗性もアップし、ロングライフを期待できるという。

 

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センターブロックのセンターグルーブ側の壁面に丸みを設計することで排土性をアップ。

 

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ショルダーには3Dバットレスと呼ばれる凹凸を設計。トレッド面だけではなくサイド面も利用してトラクションを確保。

 

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株式会社ブリヂストン
LTタイヤ開発部長 長谷川一人氏

 

快適性も十分に備えており、日常でも不満の少ないマッドタイヤへと仕上げているという。オフへ行く機会が少なくても是非履いて欲しいとのこと。

 

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株式会社ブリヂストン
LTタイヤ開発部 土屋達生氏

 

オフロードの中でも特にこだわったのはマッド性能だとか。ハイレベルなマッドでも対応できる性能を与えているとのことだ。

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アピオ 河野 仁 代表
スーパーつよし君銀八安心サスペンション(45mmアップ)、前後オリジナルバンパー、静香御前マフラー、WILDBOAR X(16インチホイール)などを採用したコンプリートモデル。そのコンセプトはシティーユースメインとなっているが、APIO のコンプリートカーらしく、当たり前のようにオフロード走破性も備えている。ストローク感ある足回りに、タイヤの質感がぴったりとマッチしていたこともお伝えしておきたい。