Rubber Sole:GEOLANDAR A/T G015 × GEOLANDAR X-AT
2020.12.16
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タイヤ
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三菱
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どちらを選ぶ?
GEOLANDAR(ジオランダー)
ふたつのオールテレーン
4×4・SUV専用のタイヤブランドとして、長年の信頼を築き上げてきた
ヨコハマタイヤの「ジオランダー」シリーズ。
現在のラインナップでは、2タイプのA/T(オールテレーン)タイヤをラインナップしているが、
さて、それぞれのA/Tはどちらを選ぶべきなのだろう?
4×4・SUVタイヤのスペシャリスト、ヨコハマタイヤ「ジオランダー」シリーズは、本格オフロード向けのマッドテレーン(M/T)、オールラウンダーなオールテレーン(A/T)、オンロードの快適性や操縦性を重視したハイウェイテレーン(H/T)を揃える万全のラインナップ。近年は環境に配慮したエコタイヤや、エクストリームなM/T(X-MT)、あるいはM/TとA/Tの中間的なキャラクターを持つタイヤ(X-AT)を設定するなど、シリーズ全体を、より魅力的なものとしている。
しかし、そのラインナップを見るにつけ、気になるのはA/Tタイヤが2タイプ、用意されていること。ひとつはスタンダードなA/Tタイヤ「ジオランダーA/T G015」、そしてもうひとつは、前述した「ジオランダーX-AT」だ。実際、ユーザーからは両タイヤの違いがはっきりしない、どちらを選べばいいのか分からない、などという声も。そこで今回は、G015とX-AT、両者のキャラクターを比較検証し、どちらがどんなシーンに向いているか、そしてそれぞれ、どんなユーザーに相応しいか、明確にしてみよう。
用意したのは現行型と前期型、2台のデリカD:5。ミニバンとSUVのキャラクターを併せ持つ、唯一無二の存在。オンロードの快適性はもちろん、安心してオフロードに踏み込んでいけるポテンシャルは、A/Tというタイヤを試すにはうってつけのテスト車両だろう。
オールシーズンタイヤに認定
冬道にも強いジオランダーA/T G015
まず現行型D:5には、ジオランダーA/T G015を装着。サイズは新たに追加された “LT245/65R17”。RAV4やCX-5、エクストレイルなどSUV各車を想定したサイズで、今回のD:5にも、とくにサスペンションのリフトアップを必要とせず装着(多少インナーフェンダーに干渉する可能性あり。またホイールオフセットによっても干渉することも)することができる。
G015にはPCパターンとLTパターン、2タイプのトレッドパターンが用意されるが、今回のサイズはLTパターンを採用。アグレッシブなトレッド、角張ったショルダーなど、よりワイルドなルックスに加え、アウトラインホワイトレターが採用されたサイドウォールが、D:5はじめSUVユーザーのカスタムマインドを捉えそうだ。さらにD:5では “17インチを履く” ということも、これからのトレンドになるかもしれない。
またジオランダーA/T G015には、“スノーフレークマーク” が刻まれていることもトピックス。これは欧州で冬用タイヤと認められた証で、極めて厳しい寒冷地でも十分な性能を発揮することを認証されたものだ。つまりG015はオールシーズンタイヤとして使用でき、高速道路の冬タイヤ規制もクリア(チェーン規制の場合はチェーンの携行が必要)できる、ということだ。オン&オフロードの走りのパフォーマンスアップ、ドレスアップ、そして冬道での安心感のアップ。純正タイヤからG015に履き替える理由は、いくつもあるのだ。
M/Tタイヤに近い設計で
オフロードも重視のX-AT
一方、初期型D:5にはジオランダーX-ATを装着。サイズはLT235/70R16、20㎜~1.5インチアップを施したD:5にはぴったりで、D:5ユーザーにとってはおなじみのサイズだろう。ホイールの選択によっては、こちらもノーマルのD:5には装着が可能だ。
X-ATの特徴は、まるでM/Tタイヤのようなブロックパターンを採用しながら、A/Tタイヤ並みのオンロード快適性を実現しているところ。もちろんオフロードトラクション性能もM/Tに迫るところがあり、オン&オフ、それぞれのパフォーマンスを高いレベルで両立しているのだ。
先のG015との違いは、まずタイヤの基本となるコンパウンド。G015は先述のとおり、スノーフレークマークを獲得するなど、冬道にも強いコンパウンドを採用しているが、X-ATはM/Tタイヤに近いコンパウンドを採用して、耐久性に優れるタフなスペックを満たしている。またルックス的にもブロックが荒々しく、溝も深い。M/Tに匹敵するほどのワイルド感は、X-ATがG015を上まわる部分と言えるだろう。
タフな志向のX-AT
より広いレンジのG015
では乗り味は、G015とX-ATでどう違うだろう? タイヤエア圧を純正指定に準じた、両者2.5kg/㎠に設定して乗り比べてみる。
オンロードは、静粛性という点ではG015がやや有利。乗り心地もG015のほうが滑らかな感じだし、グリップ感もG015のほうが頼もしい。X-ATは粗いブロックと深い溝で少しバタバタした感じだが、ただそれはもちろん、乗り比べたうえでのこと。単体で乗ればX-ATも十分快適だし、乗り心地も良好。操縦性も高いレベルだ。もっと言えば、このアグレッシブなルックスでこれだけ快適に乗れるなら、ドレスアップタイヤとしても優秀ということなのだ。
オフロードのパフォーマンスも、両者ほぼ互角だ。河原のようなガレ場の乗り心地はX-ATのほうがしなやかで、乗り心地は良好だった。ただし単純に比較はできない。G015で装着したのがロープロファイル、10PRというケース構造ゆえの、若干硬質な乗り心地で路面からの反発を感じられたからだ。ちなみにスピードを乗せたような走りでは、X-ATの操縦性の高さが光るものの、G015も十分なハンドリング性能を提供してくれる。
マッディな路面でのX-ATの強力なトラクションはM/Tとも肩を並べるほどだが、G015も今回のLTパターンサイズなら、とくにショルダーのグリップが高く、横方向をしっかりつかんでくれる。ヒルクライム途中からの発進では、X-ATにダイレクトなグリップ感を、G015は少しスリップしながらグリップを稼いでいく感じだった。
今回のトータルな印象としては、やはりX-ATの方がオフロード指向が強く、G015はすべてにバランスされている感じ。冬道での強さや、ホワイトレターのファッショナブルさもG015のアドバンテージだろう。ただ、X-ATもブラックレターしか設定がないものの、サイドまで含めたアグレッシブなルックスは持ち味。となると、どちらを選ぶべきなのか… ますます分からなくなってくる!? (文章:高坂義信/写真:山岡和正)
ジオランダーA/T G015
4本のストレートグルーブをメインに3Dサイプを刻んだトレッドブロックなどを配置。オンロードの快適性とオフロードのトラクション性能を確保しつつ、スノーフレークマークを獲得し、冬道も安心のオールシーズンタイヤとしての性能も満たしている。
ジオランダーX-AT
M/Tタイヤ系コンパウンドを採用し耐摩耗性や耐カット性を確保。ショルダー部に2つの、トレッド部に4つの異なる形状のブロックを配置したパターンで、オフロードのトラクション性能とオンロードの快適性を両立。サイドのブロックも左右で異なるデザインを採用。
オンロード
◆写真左:静粛性の高さや滑らかな乗り心地という点ではG015のほうがやや有利。トレッドの当たりがX-ATよりソフトで、グリップ感も高く感じられる。
◆写真右:G015に比べてしまうと、やや硬質な乗り味でバタバタした感じはあるが、それ単体でみればさほど気になるものではない。むしろハンドリングのリニア感が印象的だし、タイヤノイズもロングツーリングでも苦にならないレベルだ。
オフロードステージ 1
◆写真左:LTパターンを採用するG015は、オフロードのグリップレベルが高い。ヒルクライムでは、少しスリップしながらトラクションを稼ぐというイメージだ。
◆写真右:オフロードでのX-ATの強いトラクション感はM/Tタイヤに匹敵するほど。ヒルクライム途中からの発進では、X-ATはダイレクトにグリップする感じ。
オフロードステージ 2
◆写真左:G015も今回のようなLTパターンを採用するサイズなら、特にショルダーのグリップが高くヨコ方向にもしっかり効いてくれる印象だ。A/Tタイヤとしては十分、楽しめるだろう。
◆写真右:河原のような場所やガレ場では、X-ATのほうがしなやかで良好な乗り心地。路面をがっちりとつかみ込むような信頼感もある。オフロードを積極的に走るなら、X-ATを選ぶと良い。
MKW▲ MK-46 Hellcat
人気ホイール「MK-46」に、新色 “ヘルキャット” が追加された。
一見、落ち着いた雰囲気だが、実はミリタリーを連想させる色遣いでもある。ホワイトレターとのコンビネーションも良好。D:5には17×7.5(+35)を装着。
JEPPESEN MJCR #012
ビードロックをイメージしたリム、筋肉質に見せながらも繊細なデザインワークが採用されたJEPPESENの「MJCR #012」。
D:5専用サイズで、純正より太めのタイヤもフェンダーに収めてくれる。16×7.0(+40)を装着。
今回、ジオランダー、2つのA/Tタイヤを試したのはデリカD:5。現行型にジオランダーA/T G015(LT245/65R17)を、前期型にジオランダーX-AT(LT235/70R16)を装着。両車ともサスペンションはじめ、フルノーマルの状態での試乗となった。