Rubber Sole:GEOLANDAR M/T G003 225/70R16 103S
2022.9.27
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タイヤ
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スズキ
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本格マッドテレーン、なのに軽量。
オフロードタイヤの新境地に痺れる
世の中は空前のアウトドアブーム、そして4×4・SUVブーム。
とくに4×4・SUVは “インスタ映え” を狙ったカスタマイズ熱も沸騰中で、
アフターパーツのマーケットも拡大中だ。
とりわけ注目したいのが“タイヤ”。
従来のカテゴリーを超えた、魅力的な4×4・SUVタイヤが続々登場している!
ユーザーの多様化で広がる、4×4タイヤのバリエーション
アウトドアと4×4・SUV人気が沸騰する中、クルマのカスタマイズについても一大ブームが訪れている。とくに “映え” を狙ってオシャレに、個性的に仕上げるユーザーも増えているようで、“4×4=オフロード!” なんて方とともに、そのユーザーの指向は拡大中。つまりカスタマイズパーツの方向性やバリエーションも、どんどん増殖している、と言っていいだろう。
その良い例が “タイヤ” だ。かつて4×4・SUVのアフターマーケットのタイヤといえば、オールテレーン(AT)、マッドテレーン(MT)、ハイウェイテレーン(HT)、そしてスタッドレスと、ざっと4タイプくらいしか用意されていなかったはずだが、最近は “ATとMTの中間” や、“見た目ゴツいのに静か”、“MTよりさらに強力なMT” 等々、キャラクターも細分化している。もちろん、ユーザーにとっては自分の使い方や乗り方に、よりフィットしたタイヤが選びやすくなっているわけで、ありがたい状況ではあるはずだ。
PC規格で登場した “本格” MTタイヤ
さて、そんな中、また新しい “個性” を持った4×4・SUVタイヤが登場した。ヨコハマタイヤのプロデュースする「ジオランダー」シリーズ、そのフラッグシップモデルとなる「ジオランダーM/T G003」が、パッセンジャー(PC)規格のサイズをラインナップさせたのだ。具体的なサイズは “225/70R16 103S”。タイヤ総幅228㎜、外径は722㎜で、リフトアップしたジムニーシエラやデリカD:5を想定した設計だ。
その何よりの特徴は “軽さ”。G003はご存じの通り、本格MTタイヤ。それだけにラインナップもLT(ライトトラック)規格が中心になっている。もちろん高耐久で負荷能力が高い構造ではあるのだが、それだけにタイヤ重量も重くなりがちだ。しかし今回の225/70R16はPC規格。LT規格に比べ構造上、軽量設計が可能になる。では、その効果のほどは? さっそくその走りを試してみよう。
ターゲットはカスタムしたシエラ、そしてデリカD:5
今回、ジオランダーM/T G003 “225/70R16 103S” を装着したのは『アピオ』のジムニーシエラ・コンプリートカー。40㎜アップのサスペンションで武装、ホイールは16×5.5(-5)というスペックで、オーバーフェンダーにもジャストマッチだ。
まず印象的なのは、スタートダッシュの軽快さ、そしてスムーズさ。一般的にこの仕様のシエラに組み合わせるMTタイヤならLT225/75R16とか、6.50R16LTなどを選ぶところだが、この225タイヤはそれらと比べると圧倒的に軽い。ちなみに同じG003のLT225/75と比べると、今回の225/70は1本あたり約7kgも軽量だ。これが発進加速や追い越し加速の反応の良さに表れているのは明らか。また燃費の面でも好影響を与えてくれているはずだ。
さらにワインディング路でも、ステアリングの反応が素早く、身のこなしが軽快で、キビキビと走ってくれる。コーナリング時のブレーキの効き、挙動の変化、そして立ち上がりからのスピードの乗り。一連の動きがスムーズで、かなり気持ちよく走れる!
また、MTタイヤということで気になるオンロードでの乗り心地だが、PC規格ということでエア圧を車両の標準値に設定すれば、負荷能力は十分に発揮できる。つまりLT規格のようにエア圧を高めなくてもいいので、路面の当たりはソフト、乗り心地もしっとりと落ち着いたものになっているのだ。タイヤノイズについても、このサイズは溝が浅く設計されているため、通常のMTに比べると、かなり静かに感じられた。相対的に、思った以上に快適に走ることができ、たとえばLT規格のATタイヤよりソフトライドに感じられるほどだった。
MTタイヤというより、ATに近いオフロード感
そして一方、オフロードでのポテンシャルは? そこはやはり、MTタイヤとしての素性が生きてくる。まずダートやガレ場、といったシーンでは、やはり乗り心地の良さが印象的だ。オンロードで感じたソフトな路面への当たりがここでも発揮され、路面からの入力をうまく吸収してくれる。ダートを少しスピードを上げたような走りでは、サスペンションとの相乗効果を発揮。バネ下重量の軽さが効いて、よく路面に追従、挙動も安定しているし、乗り心地の良さもそのままだ。
さらに、泥や砂といった路面では、他のG003が屈強なトレッドのブロックを地面に突き刺しながらグリップを稼いでいく、という印象であるのに対し、こちらは転がりながらトラクションを生みだしていく、という具合だ。このフィーリングはMTタイヤというよりATに近いもの。もちろんPC規格だからといって、ラフな路面に踏み込むのを躊躇する必要はなく、安心して挑んでいける懐の深さも持ち合わせている。
MTタイヤはワイルドなルックスで、4×4らしさを演出するためにも、ぜひ履きたいんだけれど、普段の乗り心地の悪化や燃費面で心配……等というユーザーも多いことだろう。そんな方が選んでも、きっと満足できる、そんな印象を持った “225/70R16 103S” サイズだった。
(文章:高坂義信/写真:高橋 学/動画:佐久間 清人)
高速道路のクルージングは想像以上に快適だ。他のG003に比べ、圧倒的にタイヤノイズが小さく、直進性も良好。またソフトライドな乗り心地も印象的。追い越し加速の鋭さも225/70R16の持ち味だ。
オンロードのワインディングでは、キビキビした身のこなしが楽しめる。
ブレーキの効き、ステアリングの反応、加速ダッシュの鋭さなど、全体の挙動が、サスペンションとバネ下の軽さの相性の良さを教えてくれる。
PC規格のタイヤということで、エア圧を標準値に設定。乗り心地はしなやかで、見た目のわりにタイヤノイズもほとんど感じさせない。
普段乗りは、すこぶる快適だろう。
サスペンションの素性の良さと、バネ下の軽さの相乗効果で、フレキシブルな路面追従性が得られている。脚が動いた時にしっかりとトラクションがかかるので、ガレ場のようなところも安定して走れるし、乗り心地も良好だ。
他のG003より溝が浅いのが、PC規格=225/70R16サイズの特徴。
泥などの路面ではブロックが刺さるというイメージではなく、転がりながらタイヤのエッジ成分で路面を噛んでいく、といった感じだ。
ラージメッシュ・ラググルーブ、アグレッシブサイドブロック等、本格MTタイヤとしてオフローダーからの信頼も厚い「ジオランダーM/T G003」。従来はLT規格のサイズをメインにしたラインナップだったが、今回はPC規格として “225/70R16 103S” サイズを追加。MTのルックスに、普段乗りや高速クルージングの快適性を実現する。
今回の225/70R16 103Sサイズは、カスタムしたジムニーシエラやデリカD:5にフィッティング。いずれもオフロード指向の強いユーザー層で、MTタイヤのワイルドなルックスを求める声も多い。ただし、それでもファミリーやパートナーを乗せた普段乗りの快適さも求めたい……。
そんな方々には満足できる選択になるだろう。
今回は『アピオ』コンプリートカーのジムニーシエラに装着し、試乗を行った。
40㎜アップの “7440Tiサスペンションキット” との相性も良好。ホイールは “ワイルドボア・ベンチュラ”、16×5.5(-5)を組み合わせた。https://www.apio.jp/