【ブリヂストン】Rubber Sole:BRIDGESTONE BLIZZAK DM-V2[後編:氷雪路面]

2015.1.30

    • タイヤ
    • マツダ

最新・冬タイヤの真価

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ブリヂストン ブリザックDM-V2

s_A14K9848「アクティブ発泡ゴム」の採用による水膜除去性能の向上や、3次元的にサイプの切れ込みを入れた「3Dホールドスクラムサイプ」の採用等によって「止まる」「安定する」をより進化させたSUV/4×4専用スタッドレイタイヤ。

 

“止める”力がパワーアップした! SUV/4×4用最新ブリザック

前編の試乗では降雪や凍結のない舗装路上で、快適かつ頼もしい走りを見せたブリザックDM-V2。ドライ路面だけでなく、ウェット路でも期待以上の性能を確認できた。しかし、言うまでもなくスタッドレスタイヤの真価は氷雪路での性能にある。

 

ブリヂストン製SUV/4×4専用スタッドレスとしては、実に6年ぶりの新製品となるこのブリザックDM-V2は、従来モデルのDM-V1に較べ、氷上でのブレーキ停止距離が11%も短縮されているとのことで、メーカー側もこの点を強くアピールしている。

 

制動距離の短縮は、もちろん大きな注目ポイントだが、ここはやはり、「止める」性能だけでなく、走行安定性やコントロール性もぜひ確かめたい。幸い、これらの性能は、スノーロードを走れば一目瞭然、誰でもすぐに簡単に体感できる。

 

そんなわけで、今回は群馬県のスキー場の協力を得て、そこまでのドライブルートやスノーフィールドでじっくり試乗レポートすることにした。

 

トレッドブロックが氷雪路面にグイグイ食い込んで止まる快感

目指すスキー場の最寄りのインターチェンジを降りるまで、つまり高速道路上では、天候も良く完全なドライ路面。前編でもレポートしたとおり、DM-V2は直進安定性、接地感、静粛性ともに非常に高いレベルの性能を発揮した。

 

とりわけ静粛性に関しては、このタイヤの”静かさ”が、よりはっきり確認できた。というのも、今回のテスト車両であるマツダCX-5は、マイ ナーチェンジを受けたばかりの最新型で、前回の旧型車両よりさらに入念な遮音/制振対策が施されていて、アイドリング等ではその効果が明確に感じられるレ ベル。つまり、車内に伝わるディーゼルエンジンの振動やノイズがしっかり抑えられている分、タイヤが発するノイズが大きければ、旧モデルよりも目立ちやす い…そんな状況下で、ノーマルタイヤと較べても見劣りしない高レベルな静粛性を確認できたのだ。もちろん、ノイズの音量自体はノーマルに較べれば大き いのだが、音質が異なるため、さほど耳障りでない…という特性にも助けられている。

 

一般道に降りると辺りは一面銀世界で、いよいよ本領発揮のステージだ。スキー場へと続くメインの道路は除雪が行き届いているため、少し寄り道して近くの林道にステアリングを向ける。

 

一応除雪されているが、その上に降り積もった雪が踏み固められてツルツルの圧雪路となっているその林道で、DM-V2はまさに水を得た魚となっ た。第一印象として、良く曲がる! さすがに、アクセルを開けながらステアリングを切ると強いアンダーステアに見舞われるが、きちんとアクセルを戻して前輪に荷重が移動すれば、面白いように ステアリングが利く。トレッド面がしっかり圧雪路面を捉えているためトラクションが良くかかり、その分アクセルコントロールを正確に行わないとステアリン グ操作に影響を及ぼすほどだ。

 

ブレーキもよく効く。「制動距離11%短縮!」はダテではないだろう。圧雪路面の下はガチガチに凍結しており、タイヤが空転したりすると氷結面 がすぐに顔を出す。直線で急制動をかけるとABSが作動してからトレッドブロックがグイグイ氷結面に食い込む感じが伝わり、きっちり止まる。ABSの性能 に負う部分も大きいが、挙動が乱れず真っ直ぐ止まるので不安感がほとんど無い。

 

タイヤが氷雪路面で滑る原因は、雪や氷そのものではなく、表面に発生する溶けた水の膜にある。その水膜を取り除くための最新技術のひとつが「ア クティブ発泡ゴム」の採用だ。ゴム内部に無数の気泡と太い水の通路を設け、さらにその通路の表面を親水性素材でコーティング。それによって、ここへ水分が 流れ込みやすくなり、氷雪路面の水膜を効率的に取り除いているのだ。

 

ブリザックDM-V2の制動力やコントロール性能の良さは、この”滑りにくさ”が支えているのだということが、ブレーキやアクセルを踏んだときにしっかり体感できる。実に分かりやすい「高性能」である。

 

4×4を活かし楽しくするスタッドレスタイヤなのだ!

曲がりくねった雪の林道でひとしきりコントロールを楽しんだ後、次は目的地のスキー場へ向かう。広大なスキー場の駐車場を借り、クローズドコースでしかできないテストを行うためだ。

 

林道を走っていた間に降り出した雪が積もり、除雪されていた路面はまた真っ白に。しかし、積雪路面でもDM-V2はしっかりした接地感をドライ バーに伝えてくる。常識的な速度では、コーナーでも挙動は安定しており、ドライ路面と同じ感覚でステアリングを切れるし、ブレーキも踏める。

 

ほどなく、目指すスキー場の駐車場に到着。まずは、林道では出せなかった速度で周回を試みる。基本的には踏み固められ、掘ると凍結している圧雪ステージだが、場所によっては吹きだまりになっていて、30〜40センチ近い積雪スポットもある。

 

s_A14K0007ある程度スピードに乗せて旋回を始めると、ジワジワとスライドしながらもすぐにグリップを回復し、ほぼ狙いどおりのラインを走ることができる。 各輪で働く電子制御ブレーキがトラクションをコントロールしてしまうので、この機構を解除して走ってみるが、スライド量はやや増えるものの、トラクション の回復が早く、すぐにコントロールできる状態に復帰できる。それも、急激に回復するのではなく、ごく自然にトラクションが戻るので、急にグリップして慌て る…というようなトリッキーな挙動も起きない。

 

速度が上がれば、制動距離は当然延びるし、重いSUVならなおさらだ。さすがにこの場面では、林道でふつうに走っているときのようには急停止で きない。ただし、雪や凍結路面に喰い付く力が強いためコントロールが利くので、危険回避能力は非常に高いタイヤと言ってよいだろう。

 

実際の制動距離の短さももちろんだが、この性能に裏付けられたコントロール性能や走行安定性のレベルの高さ、そしてそこから来る安心感こそがこ のタイヤの真骨頂と言える。ドライおよびウェットでの性能も含めて、安全かつ4×4をより活かし楽しめる…そんなスタッドレスタイヤなのだ。

 

【テスト車両】
マツダCX-5 SKYACTIV-D

s_IMG_2721テスト車両は前編に引き続き、マツダCX-5。前回同様ディーゼルターボ車だが、今回はマイナーチェンジしたばかりの新型を使用。パワートレイ ンに大幅な変更はないが、脚まわりでは新構造の前後ダンパー採用や、フロントロアアームのブッシュ形状最適化等が施されたほか、遮音/制振性能も強化。先 進安全技術「i-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)」もさらに進化させる等、あらゆる面でパフォーマンスアップが図られた。

 

20140130_1寒冷時でもトレッドゴムが硬くならず、ブロックがしなやかに動くため、良くグリップし、排雪性能も高い。溝が交差するポイントを増やすことで、取り込んだ雪を強く押し固める効果も。

 

20150130_2圧雪路面の下はガチガチに凍結した林道。そんな低μ路もキビキビ走れる愉しさがある。

 

s_A14K9865速度を上げれば当然制動距離も延びるが、このタイヤの真価はその優れたコントロール性にあるのだ。

 

s_A14K0040荷重移動をアクセルで積極的に行うためのトラクションと、ステアリングの利きが確保できる。

 

【コラム】
都心から100分、インターから3キロ!
ノルン水上スキー場

s_nornmain2015今回のテストランで取材ご協力いただいた「ノルン水上スキー場」は、関越自動車道・水上ICから3kmという好アクセスが嬉しいスキー場。最長24時までのナイター等、コースも設備もゴキゲンな穴場的ゲレンデなのだ。

 

ノルン水上スキー場
〒379-1614 群馬県利根郡みなかみ町寺間479-139
TEL:0278-72-6688/FAX:0278-72-6660
Mail:info@norn.co.jp
営業時間
2015年1月9日~3月21日 [月~木] 8:00~22:00 [金] 8:00~24:00 [土] 7:00~24:00 [日] 7:00~22:00
2015年3月22日~3月29日 7:30~16:00