Smokin Wheels 2015 in Guam

2015.5.15

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“Smokin Wheels”は歴史あるモータースポーツイベント

3時間耐久スタート

『Smokin Wheels』は、オフロードを中心としたモータースポーツイベントで、今年で34回目という長い歴史を誇るビッグイベントである。日本では、身近なマリンリゾートとして知られるグアムだが、意外にもモータースポーツの穴場なのだ。

 

競技は、ATVやUTV、2輪、バギー、4WDなどの耐久レースに加え、泥のプールに飛び込むマッドドラッグやドリフト、400mのドラッグレースなど、多彩な競技が、週末の3日間朝から晩まで繰り広げられる。さまざまな競技が一挙に楽しめるとあって人気が高く、小さい子どもを連れた親子が多く訪れている。広大でさまざまなステージが繰り広げられるオフロードコース、舗装されたオーバルコースのあるメインスタンドサイドでは、競技のほかにフードやドリンク、関連グッズやお土産ブースが賑わいを見せる。そして日が暮れると、ドラッグレース場サイドで、ナイトイベントが開催される。

 

night_a長い歴史を築いてきた背景には、主催しているグアム・レーシング・フェデレーション(GRF)のヘンリー・シンプソン氏と日本ATV協会(http://www.atvjp.com)の湯浅哲兒会長の協力体制がある。互いに、さまざまなオフロードレースを競技者として、開催者として経験を重ね、グアムやアメリカ本土から著名な選手を呼び寄せたり、たくさんの日本人選手を率いる日本の窓口となり、『Smokin Wheels』を支えているのだ。

 

さまざまな競技の中でも注目したいのは、メインイベントであるバギーと4WDによる「オフロード3時間耐久レース」。現在、日本、アメリカ、タイなどの国際舞台で活躍する選手が参戦する本格レースで、広大でダイナミックなコースを走り、プロとアマチュアが同じ土俵で戦えるのが魅力だろう。グアム特有の赤い土がエンジン音とともに舞い、文字通りの「Smokin Wheels」=土煙となり、レーサーたちも熱くなるのが醍醐味だ。ちなみに、長い歴史の中で、ダカールラリーでの優勝経験も持つ増岡浩選手、「バハ1000」の神様ともいわれるマルコム・スミス選手など、著名な選手も出場している。

 

コースレイアウトが一新し
よりテクニカルでハードな展開に

『2015 Smokin Wheels』が、4月17日(金)~19日(日)、グアムのジーゴにあるインターナショナル・レースウェイで開催された。メインイベントであるバギーと4WDによる「オフロード3時間耐久レース」の舞台となるオフロードコースは、今年大きく変更され、赤土、サンゴの白い岩、砂利、舗装など、次々に変わる路面状況と、ジャンピングポイント、蛇腹のタイトコーナー、ストレートから大きなすり鉢状のアップダウン、ウォッシュボードというより山の起伏が連続するロングストレート、大きな山のようなジャンピングポイントなど、日本では見られない変化に富んだコースとなっていた。どちらかというと、ジャンプの得意なバギー向きで、4WDにはかなりきついだろう。

 

今大会に出場した日本ATV協会率いる日本人チームは、ATV13台、二輪1台、バギー8台、4WD11台、ドリフトマシン1台、総参加台数34台、総勢120名。注目の「オフロード3時間耐久レース」には、日米合わせてバギー12台、4WD13台、合計25台が出場した。バギーも4WDも排気量2000㏄を基準に、アンダークラス、アンリミテッドクラスとクラス分けがされているが、すべてのマシンが混走するのが特徴だ。

 

選手勢は、「バハ1000」や「パイクスピーク ヒルクライム」で活躍するプロドライバー塙郁夫選手を筆頭に、国内外でのラリーやレース経験のあるベテラン選手が顔を揃えた。マシンといえば、排気量5700㏄エンジンを積んだDS2というバギーが4台もエントリーし、新たに製作したという2000㏄エンジン・2WDのトロフィトラック、5700㏄のタンドラベースや3500㏄のパジェロエボベースのプロトマシンなど、目新しいマシンが目についた。

 

金・土・日で、練習・予選・決勝と行なうが、今年のオフロードコースは、昨年と比べて起伏も多く、かなり過酷だ。初日の練習走行から、ミッションや足回りにトラブルを抱えるマシンが多く見られた。これまで赤土とサンゴの硬い岩対策が求められてきたが、ふかふかした砂利の大波小波を走る場所も多く、タイヤの空気圧を調整する姿も目に付いた。バッタのように足が動くバギーは山をトントンと飛んで越え、小型の4WDは山を這うように走らせる。4WDは、はやる気持ちを抑えきれず、うっかり気持ち良くジャンプしてしまうと、マシンへの負担が大きくなってしまうのだ。

 

予選では、昨年の王者L/C GUNDAMの塙選手が、トップタイムをたたき出し、2位にはヘンリー・シンプソン選手、そして3位にDS2にマシンを変えた高橋雄一選手がついた。ここ数年、練習走行、予選でマシントラブルを起こすなど、アクシデント続きで心配されていたパジェロエボベースマシンのチームTAKE OFF・坂巻勝彦/田代洋選手も、トラブルを抱えながらも無事に決勝へと進んだ。昨年好調だったハイラックスサーフベースのマシンで出場したLIMITの荻原達哉/慎哉選手は、パワステのギアボックス破損でパワーステアリングなしに。ビークロスで出場している渡辺幸哉/加藤俊弘選手も、左側のドライブシャフトの破損で2駆で決勝へと進むことになるなど、ベテラン勢も新コースに手こずっているようだった。また、アメリカ勢も同様で、マシントラブルと闘っている選手も少なくなかった。

 

 driver_1(上段左から)塙選手、高橋雄一選手、坂巻/田代選手(下段左から)荻原達哉/慎哉選手、渡辺幸哉/加藤俊弘選手、森本哲哉/高安肇選手

 

決勝は、予選タイム順に並び、コースを2周するパレードラン、そこからローリングスタートという予定だったが、パレードランの後、一度整列してからのスタートに改められた。メインスタンド前の舗装コースからオフロードコースへと、並んだマシンが次第にバラけた。周回を重ねるごとに、エンジン音の響きが変わり、各選手のスピードが増していった。最後の30分は、まさに激走。走り抜けるマシンの風切り音は鋭い。安定感のいい走りでレーストップを走っていた塙選手は、序盤リムトラブルで大きなタイムロスをしたものの、後半一気に追い上げた。周回数72周で4WD・アンリミテッドクラス優勝を飾ったが、トップとの差わずか30秒、残念ながら総合2位となった。そんな塙選手を制し、周回数72周、30秒差で、総合優勝を手にしたのはDS2の高橋雄一選手。バギー・アンリミテッドクラス優勝と完全制覇を成した。そして、ヘンリー・シンプソン/ジョイ・クリソストモ選手が、わずか1周差の周回数71周でバギー・アンリミテッドクラス2位、総合3位についた。また、後半でトラブルを抱えながらもベテランの意地を見せたのは、森本哲哉/高安肇選手。周回数56周でバギー・アンリミテッドクラス3位に食い込んだ。

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今大会では日米の出場者共に、マシントラブルによるリタイヤが多数出たが、日本勢の活躍が目を引いた。バギー2000㏄アンダークラス優勝、総合4位は、周回数67周の大桑麻喜生選手。4WD2000アンダークラスは、エスクードで出場したBandit Japanの青野泰久/伊藤芳朗選手が昨年に続き2度目の優勝を手にした。そしてビークロスの渡辺幸哉/加藤俊弘選手が、周回数57周で4WDアンリミテッドクラスの2位と健闘した。今年の新コースは、実にダイナミックで変化に富んでいた。マシンを壊した選手でさえ、「早くも来年が楽しみ。こんなに楽しいコースは日本にはないですから」と、来年に向けて、早くも意欲的な様子だった。

 

『2015 Smokin Wheels』の週末の3日間、観客動員数は延べ2万人。さまざまなカテゴリーのレースのほか、カーショーなども行われ、総参加台数は236台。会場には、多くの家族連れが訪れ、お祭り気分で盛り上がっていた。エンジン音と土煙に圧倒される南国グアムでのモータースポーツ三昧の週末、ぜひ来年はエンジン音と土埃に酔いしれてみてはいかが。

 

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主催:日本ATV協会/グアム・レーシング・フェデレーション(GRF)
協賛:レオパレスリゾートグアム/日本レンタカー/バーガーキング/株式会社RSタイチ/株式会社名西運輸/SWIRE SHIPPING/ISAトラベル(中西興産株式会社)/MONSTER/Miller Lite/グアム政府観光局/CARS PLUS/CYCLES PLUS/TRIPLE J FORD/協和海運 他