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進化したスポーツユーティリティ “PHEV”

ガソリン車とPHEV車、全15タイプを用意

三菱のグローバル戦略車として2017年にデビュー（日本では翌年発売）し、ミッドサイズのアウトランダーに次ぐコンパクトサイズSUVとして、三菱クロスオーバーSUVラインナップに加えられたエクリプスクロス。クーペフォルムのSUVとして、新たなジャンルのファン層に支持されているSUVである。
 
発売当初は1.5Lガソリンターボ車のみのラインナップだったが、後に追加された2.3Lディーゼルターボ車は2020年12月に行われたビッグマイナーチェンジで姿を消し、取って代わる形で登場したツインモーター4WD方式を採用するPHEVモデルとガソリンモデルの二本立て体制となった。
 
昨年11月には一部改良とともにグレード構成も見直され、PHEV／ガソリン車それぞれに5つのグレードが設定され、ガソリンモデルは全グレードに2WD／4WDが用意されるので、全部で15タイプ（価格帯は約254〜465万円）というラインナップとなっている。
 

タイヤをサイズアップして試乗

今回はPHEVモデルの最上級グレード「P」に試乗したが、国産タイヤメーカーのオンロード向けタイヤのテスト試乗も兼ねていたため、タイヤ＆ホイールのみ標準サイズ（225/55R18）とは異なる235/55R19を装着して走行した。
 
このエクリプスクロスPHEVは、市街地をはじめ一般的な走行シーンではEV走行だ。給電がメインの役割となる2.4L直4-DOHCエンジンは、加速時や上り坂などでアクセルを踏み込んだときやバッテリーの残量が少なくなったときに発電を行うが、この時もまたモーターで走行。一方、高速道路での走行は効率のよいエンジンをメインとしモーターがアシストするのだが、このスムースな加速感が実にいい。
 
さらに、タイヤの外径やトレッド幅がサイズアップしていることによる加速時のパワーロスは全く感じられず、純正タイヤより僅かにパターンノイズが大きめであることに気付きにくいのは、パワートレインの静粛性と遮音性能の高さゆえだろう。
 

“マニュアルシフト感” が楽しい峠道

ワインディング路では、パドルによるマニュアルシフト操作が楽しめるが、ガソリンモデルに搭載されるCVTのようなトランスミッション機構を持たないPHEV車の場合、これは「パドルシフト」ではなく「回生レベルセレクター」として機能する。つまり回生レベルの切り換えによって、トランスミッションで言うところのシフトアップ／ダウンを行うわけだ。
 
ただし、ガソリン車のように “エンジンをおいしい回転域に保つ” ためのシフト操作が不要なPHEV車ゆえ、この場合のシフトダウンはガソリン車で言うエンジンブレーキ効果としての減速のためのパドル操作となる。頭で考えるとややこしい話だが、実際は、ほぼCVT車と同じ感覚で扱えて、違和感も無いその制御にひたすら感心する。
 
試乗中、ドライブモードを充電中心に切り換えない限り、バッテリーレベルがどんどん減っていくのが気になったが、そこは給電スタンドまでの航続距離を気にしなくても良いPHEV車のこと。ここはBEV車に対する圧倒的なアドバンテージを享受できるポイントでもある。
 
パワー面でもボディー剛性面でも全く不満を感じさせず、何より上質な乗り心地と静粛性の高さが印象的だったエクリプスクロスPHEV。災害時に威力を発揮する4×4SUVとしても期待の大きいモデルと言えるだろう。
（文：内藤知己／写真：佐久間 清人）

 

6:4分割可倒式リアシートの操作は全て手動。完全なフラットにならないのがタマにキズ。コンパクトクラスとは言え、SUVとして充分広いカーゴスペースが確保されている。
 

リアカーゴのフロア下には充電用ケーブル、コンプレッサー＆パンク修理キット等が収納されている。左のカバー下には通常のカーバッテリーが鎮座。

 

4B12型MIVEC／2.4リッター直4-DOHCガソリンとS61型（前）モーターを搭載、リアにはY61型モーターを搭載するツインモーター4WD方式を採用。

 

各ペダル、シフト（フロア＆パドル）ともごく普通な風景のインパネ。ただし、いわゆるパドルシフトとは機能が異なる「パドル式回生レベルセレクター」だ。

 

オプションの本革シートはシートバックポケットまで本革仕様という高級タイプ。ミッドサイズのアウトランダーの弟分という立ち位置ながら、価格を見れば立派な高級車のカテゴリーに属する。
 
公式サイト
https://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/eclipse-cross/